モーツァルト縁の地で不覚にも感激

オーストリアに入った途端何か雰囲気が変わった。チェコからドイツに入る時もそうだった。やはり国によって違うのだ何かが。オーストリアめは、緑が多くのどかで、そして可愛らしい印象を受けた。

可愛らしいというよりむしろ、かーわーいーいー、だ。

ここでも一般道路を選んでのんびりと進む。すると随所でおかしな指示を出してきていたカーナビちゃんが、僕達のリクエストに答えてくれようとしているのか、真っ直ぐいけばいいだけの道をわざわざ曲がらせ、辺鄙な田舎町へと誘うのだ。

おかげでカーブミラーもなく車一台しか通れなさそうな道を走らされる羽目に。だが、イイ。イイよカーナビお前の演出。こういう所に来たかった。と三人口を揃えて窓からバッシャバシャと撮影。

草っぱらにかこまれた一本道で、いてもたってもいられなくなり停車、半裸になり寝転ぶ。うんこがありそうだがかまやしない。

日本で休む間もなく一所懸命に働いている人々にこの清清しさを体験していただきたいと切に思う。「ナビに連れられて迷い込んだ田舎町の草っぱらに寝転ぶ」この快感を。ちょっとお休みなさいよと。

そして面白いのが、道の端々にお地蔵さん的にキリストだかマリアだかの像が奉られていること。こんな形でキリスト教の像をみたことはなかったので、親近感を覚えた。

陽が沈み、だいぶ辺りが暗くなってきたころ唐突に

ウワアアアアアアアァァァァ!!!!!

と三人同時に雄たけびをあげてしまった。何故。

全く予期しない瞬間に、突如目の前に、満ち満ちた月と荘厳な城と、それを湛えてきらきらと流れる川がパノラマビューで現れたらあなた、雄たけびをあげずにいられないではないですか。

ザルツブルグ( Salzburg )のお出ましだ。

モーツァルトが25歳まで住んでいた(そうです)街。世界遺産。無知って時に予想外の感動を呼んでくれるからいいよね。とこの時改めて思った。どこへ向かっていたかも、そこに何があるかもよく分からないままのこのことやってきて、この景色をがっつーん見せられたんだもの。

その無知と突然のパノラマ効果によって、一瞬でこの街を好きになってしまった。

岩山を掘りくさって作ったような岩ムキだし!の駐車場にクーガを停め、夜のザルツブルグを練り歩く。

ともかく美しいそしてさすがはモーツァルトの地、今日もクラシックのコンサートや演劇だかなんだかがあったらしく、フォーマルな格好に身を包んだ人々が会場から出てきたり、フォーマルな格好に身を包んだ人々がレストランでワインを飲んでいたりしている。

そこへ来て僕はといえば、マレーシアで拾ったもはやヴィンテージ風と言うにも無理がありそうなほどダメージを受けたジーンズ(しかも短パン)に、もらいもののYABATON(名古屋のミソカツ)Tシャツ、タイで買った偽物のクロックスといういでたち・・・

普段は微塵も気にかけないけれど今度ばかりはこの小汚さに自己嫌悪。を覚えさせるそんな街ザルツブルグ。

長袖を車に置き去りにしてきたことを後悔しつつ寒さに震えながらも、絶景の満月と城を撮影。

素敵な街にセイグッバイして、今宵も車を走らせる我々。高速道路のサービスエリアでシャワーを浴び、車中にて眠る。ザルツブルグの人々からは想像もできないだろう我々のこの暮らしぶり。

これはこれでOK。

出国を前にぬかる。

翌朝10時頃、再びクーガを走らせる。高速道路をひた走る。と・・・

止まりなさい。

ヤテモタ・・・ワテヤテモタ・・・スピード違反。「はいこんにちは、今あなた、制限速度80kmのところ105kmで走ってましたね。25kmオーバーですね。30ユーロの罰金をキャッシュでお願いします。」

制限速度が80kmにかわった直後の場所で待ち構えるなんてまるで日本みたいだけれど、30ユーロで済んでよかった・・・としましょう。素直に支払い、「では、安全運転でお願いします。チュース。」

もう高速やだ、と一般道路に下り、さらにひた走る。するとまたしても、今度は望んでもいないのにカーナビの演出で辺鄙な町へ送り込まれる。

ついでに給油、スーパーで買出しをして山道をぐんぐん。

あ、あるぷす?もしかしてアルプス?

無知な上に地理にも弱いのだが、おそらくアルプス。あ、アルプスやーー!!!

国境やー


リヒテンシュタイン日記

オーストリア(2009年8月5日〜8月6日)