イタリアでパスタを食べたって言いたいじゃない
モンブランからモンテビアンコへと変貌を遂げた山を駆け抜け駆け下り、広がる世界はイタリアン。お国かわればやはりがらんと雰囲気かわる。イタリアもこれまた今までの国々と違った感触がする。
目的地トリノへ向かってひた走る。違った感触。トリノが近づくにつれてさらに濃くなってゆくその感触。そう、違う・・・
なんか・・・
ぼろい。
何故だろう。フランスやオーストリアの家々はこう、古くても綺麗な花が飾られてあったり、どこか手入れの行き届いた感じがしていたのだが、イタリアはやたら道路がひび割れて、建物も古いというよりもぼろいと形容したほうがしっくりくる。イメージしていたイタリアと随分、違う。
そろそろベッドで眠ってみたい願望をかなえるべく、トリノの中心地から少し離れた場所に位置するユースホステルへチェックイン。そのせいか1人15ユーロと欧州ではかなりリーズナブルな料金なうえに駐車場もあるから助かった。
既に時刻は19時を過ぎていたので、兎にも角にもパスタだ。パスタを食べようじゃんか。市街へと歩いてゆく。
うーむ・・・なんだかなあ・・・・
写真もどこか、「とりあえず撮っておかねば」という義務感に近い心境で撮る。イタリアに対する先入観が鮮やかすぎたのだろうか。
カフェテリアにジェラテリアにピッツェリア。リアリアリアリア。ディゾ、広場のほうまで歩き、ようやくリストランテを見つけ、着席。
念願のイタリアでパスタだ。ノブさんとマオさんはカルボナーラ、僕はサーモンとトマトのクリームソースパスタを注文。さらにマリオブラザーズという強烈に興味をそそるピザがあったのでそちらも注文し、おまけにノブさんの水に対する概念を一気に変えたというイタリアのミネラルウォーター「パンナ」を飲んでみる。
う、うまい確かに。が、水人生を一変させるほどのインパクトがあるかといわれれば首をかしげざるを得ない。いや、うまい。本当に。なめらかというか、サラっと喉に流れ込む気がする。
そうこうしているうちに、ついにきたパスタ。いただきます。うんまい!麺が絶妙なアルデンテ?だ。アルデンテって何だ。ともかくうまい。ブオーノ。私は今、イタリアでパスタを食べています。
そして気になるマリオブラザーズ。マオさん曰く、マリオの赤とルイージの緑でマルゲリータ風ピッツァではなかろうかということだったのだが、こちらはえーと
ピザにフライドポテトがもっさり乗っかった物体
ほほう、イタリア人の粋な演出かね。どのへんがマリオでブラザーズなのかね。うまい。普通にうまい。が、あえて一言いわせてもらえるとすればこのポテト、ピッツァと別皿に盛ったほうがいいんじゃない。
ピザ生地とポテトを同時に口に入れると水分を全部もっていかれて喉がやたら渇くんです。
といいつつもきれいにたいらげ、会計をたのむと、見事に2ユーロほど上乗せされた金額を請求されたので、これ合計金額ちゃいますけどと指摘すると、何人だかよくわからない店員は「確認してきます」とレジへ戻った。
「こちらのミスでございました。ごめんね。」意図したことだったのかどうかは不明だが、まあ謝ってくれたのでよいだろう。例え訂正したのにまだ20セント足りないとしても。
イタリアは割りとこういうことが多いとはノブさんの談。
夜のトリノをいくばくか歩いてまわり、宿へ帰る。イタリアまで南下すると随分暑く、喉がやたらに渇く。
ミラノに対して抱いていたイメージと現実の狭間で
こちらのユースホステルは15ユーロと割安な料金なうえに朝食もついているので助かった。パンとコーンフレークにドリンクバー。ホットチョコレートにカプチーノ、オレンジジュースに牛乳。ドリンクバーがあるとついついモトをとろうと必死になるきらいがある僕。
案の定腹を下し要するに下痢。チェックアウトをすませトリノの街を発つ。僕の運転にて目指すはミラノ。ミラノといえば、ファッションや、ファッション、それからファッションで有名なお洒落な街、それが僕のミラノに対するイメージ。
これまでに走ってきた国々と違って一同風景を楽しみ撮影に勤しむ、ということをせずままにミラノ着。イタリア人は運転が荒いので神経を使う。
ミラノの一大名所、ドゥオーモを訪れる。世界最大のゴシック建築だそうだ。ゴス系だそうだ。さすがにこれは見事だ。前の広場の物売りとハトの多さには少々滅入ったが、ドゥオーモの中は観光客だらけだけれどもこれまた見事だ。具体的にどこがどう見事だったかという質問は避けていただきたい。
それから高級ブランドショップの建ち並ぶ通りをちらりと覗いてみる。ルイヴィトンやグッチと向かいあってマクドナルドがずどんとかまえていらっしゃる。
ミラノ・・・ここもなんだか・・・
ぼろい。
イタリア人及びイタリア好きの皆様には申し訳ないが、これが僕が率直に抱いたイタリアの印象である。といってもトリノとミラノのごく一部しか除いていないので、きっとローマやフィレンツェのほうへ足を運んだり、もっと長く滞在したりするとまた違った印象が芽生えてくるのだろう。
大体ほんの一日二日でその国が分かるわけなんてないので、これはただただちょっと片足突っ込んだ濃いめの東洋人が抱いたかなり偏った意見であることをご承知下さい。
そんなわけで運転の荒いイタリア人に負けじとクーガを走らせ、途中ショッピングモールのファーストフードでやっぱりピッツァに手をつけつつ、さらにさらに走らせ
トンネル抜ければ
え?またフランス・・・
意表を突かれての再フランスだったので拍子抜けしたが、やはりどこか落ち着く。イタリアとは全く違う。フランス。どこか可愛らしい。フランス。もしや僕は前世でイタリアの軍と果敢に戦ったフランスの革命家の類だったのではなかろうか・・・だからやたらにイタリアで違和感を覚えフランスで安堵感を覚えているのではないか・・・ないか。
山を駆け抜け夜も更けてきたころ、丁度キャンプサイトをみつけたので、シャワーだけ借りられないかと尋ねると、英語が通じないのでジェスチャーを使って説明する。と、気のよさそうなおっちゃんに「ノンノン」と言われる。だめか。と思っていると、おっちゃんどうやら「石鹸はないよ。ノンノンよ。」と言っていただけらしい。
石鹸あるよ!ボク石鹸あるよ!
シャワーを快く、しかも無料で貸してくれたおっちゃんにメルシーブクとお礼を言い、さっさと体を清め、車中にて一泊。
地中海に胸とか脇とか弾む
翌朝8時過ぎには出発。食料や男三人が車という名の密室にぎゅうぎゅうに押し込められていたためか、据えた匂いが充満していたのでお香を焚く。くさいのくさいのとんでけ。
山を越え谷を越え走ること数時間
海がみえた。「地中海やで」
ち、チチュカイデスカ!?
地中海風ナニナニとやたら比喩されるあの地中海!エジプトのアレキサンドリアという町からも地中海はお目にかかったが、やはりこちらとあちらでは雰囲気がまるで違う。
コバルトーブルーだかエメラルドブルーだか知らないが、とにかく碧い海と太陽の色をした街並みが広がっている。
そうここは、モナコ。
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イタリアと一瞬フランス(2009年8月7日〜8月8日)