桜田さんにすら感銘を受けられない自分

ジローナ空港という、もはやバルセロナではないのにあくまでもバルセロナだと豪語する場所へ着陸し、そこからまた12ユーロもするシャトルバスにのって本当のバルセロナへ向かい、予約してあった宿へチェックイン。カウチサーフィンで宿泊先を探したのだが、どこも皆他の人を泊める予定があったりしてムリだったのだ。無念。

疲れていたので適当に飯を食らい、とっとと就寝。

なんか懐かしい響きがするなと思って見渡すと、オーストラリア人の旅行者が五人もいた。道理であのアクセント。少ししゃべり、朝食をとって外出。

電車でバルセロナの中心カタルーニャ駅へ。もらった地図を頼りに、とりあえず北へ、と歩いたつもりが見事に南で、港に到着した。気をとりなおして北へ向かい、市場をみつけたのでちょいと入ってみる。

なんだかこれまた懐かしい感じがする。アジアの市場に空気が似ているのだ。うさぎの皮をはいだまるごとの肉が売られていて驚いた。

そして、そういえばバルセロナ以降の行方を何も考えていなかったので、世界地図スペインの項を開き、中央駅へ向かい、バスや電車のチケットの値段を調べてみる。

決定。僕はマラガへ向かいます。マドリッドやその他素敵であろう観光地を一気にすっとばして、マラガへ。バスのチケットを77.81ユーロにて購入。高・・・

明日の行方が定まったところで、いざ桜田さん家へ。

サグラダファミリア。偉大なる建築家ガウディの、あまりにも有名な建物。サグラダファミリア駅をおりるとすぐにみえた。

おおー。

正直な感想がこれだ。情けないやら自己嫌悪やら。だが仕方がないのだ。やっぱりこういう観光スポットの類には興味が沸かない体質なのだ。浅はかな知識しか持ち合わせていないのも要因だろうが、ここまでくるとそれ以前の、遺伝子レベルの問題のような気さえしてくる。

とはいっても素敵な風貌の桜田さんを撮影しない手はないので、四方八方から撮影。

中へ入るには11ユーロ必要なのでもちろん入らず、退散。

町の中心部へ戻ろうとコンパスと地図を取り出し、西へ歩く。つもりが美しいほどに北に歩いていた。ふふふ、これも計算済みだ。なぜなら、道を間違えたおかげてこうして安いピザ屋さんを見つけられたのだから。

マルゲリータを一枚まるごと(5.95ユーロ)一人でたいらげ、今一度西へ向かう。鮮やかなまでに迷う。

偶然みつけたJoanicという駅で立ち止まり、地図を広げる。すると町の中心とは違った方向にきていたものの、うまい具合にガウディパークという公園の近くだったので、そちらへ目的地を変更する。

なんとこちらの公園、入場料の類が必要ない。喜びいさんで歩を進める。ここも観光客でいっぱいだ。某東京ディズニーシーの、アリエルという人魚が徘徊しているあたりに雰囲気が似ている。

丘の上に登り、バルセロナの町を一望。先ほどちらりとお邪魔した桜田さんも威風堂々としたいでたちでそびえている。

日中も日中、さらにお天気良好で炎天下だったため、歩き疲れて宿に帰る。が、駅に向かうまで地図をみながら歩いたのに、全く地図と違う現実の世界にイライラし、疲れが増してしまった。あれは絶対的に僕ではなく地図が間違っていたと思う。畜生。

方向音痴の方はみんなそう仰るんですよね。

喉がからっから状態でのむヨーグルトを一気飲み、さらに2リットルのコーラもがぶ飲みしたおかげで見事に下痢を催し、部屋で大人しくインターネット。

スーパーで買ってきた冷凍パエリアをレンジでチンすると

ご飯がなかった。

具のみパエリアを食べる。塩っ辛!!お米とまざって丁度いい塩梅なのだろう。お米なしだと塩っ辛!!

食後のスモモが一番美味しかったです。

バスでずずいと南下

宿をチェックアウトし、近くの修道院を見学。運良く本日入場料無料の日だったので中へ。まあ、修道院だ。古い台所や、教会、小部屋などを見てまわる。

無料でよかった。

電車の回数券が残っていたので、意地でも使いきるべく、地図にのっていたエスパーニャ(Espanya)という場所へいってみる。

城だかミュージアムだかがあったので、さらりと見て、写真を撮ると疲れたので帰る。

16時近くまで宿で過ごし、出発。Sants Estacio中央駅へ。ハリボーを購入しもぐもぐと食べながら待ち、17時半バスに乗り込みいざマラガへ。

途中休憩をはさみつつ、マレーシア人旅行者のシェリーンとしゃべりつつ、ひた走るバスに揺られる。

揺られる。揺られる。

こと17時間。

突発的に金遣いが荒くなる

翌朝10時。ついにマラガに着いた。予想していたよりも大きな町だ。予想といってももとから何の情報もなかったので妄想に近い。

あらかじめ調べておいた宿のグーグルマップ画像と住所を頼りに歩く。迷う。

すると通りすがりのオッチャンが心配して「どこ行ってんだ?」ときいてきてくれた。

そんなこんなで到着。したはいいのだが・・・これはどこからどうみても、普通の、マンション、の一室。

看板も何も一切ないので、諦めてもう一つの宿へ向かう、一体あれは何だったのだ。

シティバスに乗り込み、ドライバーに尋ね、ようやくResidencia Malagaという宿に到着。なんとこの宿、ドミトリー一泊12ユーロで朝食ビュッフェ、無料ワイヤレスインターネット、無料コーヒー、キッチンがついているのだ。素晴らしい。

歩いて一分の距離にスーパーもあるので便利。ラザニアをチンして食べて、散策へ。

もらった地図を手に海沿いを歩く。めざすは港。そう、ここマラガの港からは、メリーヤ(日本語表記ではメリリャとされているがスペイン語の発音ではメリーヤのほうが近いのでこう書きます)という、地理的には北アフリカ、モロッコの一部なのだけれども行政的にはスペインの一部、な町まで船が出ていて、その謎めいた町経由でアフリカへ上陸してやろうと目論んでいるのだ。

そうして到着した港で、チケットの値段をきくべくカウンターへ。閉まってます。

シエスタ・・・

陽気なスペイン人の考え出した素敵なブレイクタイム、シエスタ。畜生。

またあとで来ることにして、マラガ駅のショッピングモールへ足を運ぶ。H&M、ZARA等のお手頃価格な服屋さんを徘徊して、ZARAで3.99ユーロのセールTシャツを発見し、購入。

そして調子に乗り始めたジャミラは・・・

メディアマーケットという電化製品店で、新しいイヤフォンと新しいカメラケースと新しいマウスを一気に購入しめて25ユーロ。

電気屋さんに弱いのだ。

今一度港へ向かい、チケットの値段及び時間を尋ねる。33.7ユーロで14時発の22時着。ようし。あとは寝床の確保だ。

宿へ帰り、ネットで検索検索。ヒットしない。安宿情報はおろか、町の見所すらヒットしない。何なんだメリーヤ。

だめもとでカウチサーフィン検索。すると一人、メリーヤ在住の女の子ドナがヒットしたのでメッセージを送ってみる。

数時間後

「ハイジャミラ!ハジメマシテ!大歓迎よ!メリーヤのことも、モロッコのことも色々知ってるから情報あげられると思う!それに私二年前神戸に住んでたの!」

奇跡勃発。

やったー!無料の宿泊先ゲット。それどころかその先のモロッコの情報まで仕入れられる。カウチサーフィンよありがとう。

こんにちはアフリカ大陸、でもスペイン

翌々日、宿をチェックアウトし、スーパーへ船用のお菓子の買出しに。すると衣料品大セール中で、いい具合のジーパンの短パン(デニムのハーフパンツともいう)がたったの3ユーロ(しかも元値は33ユーロ)で売られていたので迷わず購入。

今日この日まで履き続けていた、マレーシアで拾った破れまくってケツ丸見えの短パンとおさらばした。長い間ありがとう。同時にインドで買った色あせて穴開いて縫い目だらけの短パンともおさらば。さようなら、ありがとう。

捨てられない男がここのところよく捨てている。

シティバスで港まで向かい、13時、乗船。スペイン人、モロッコ人を除いた旅行者は僕だけのようだ。久々の船旅に興奮。やはり旅は船です。船は旅です。

出航!

ジャミポッドを聞きながらお菓子をたいらげ、船が揺れ、デッキを歩きまわり、写真をとり、船が揺れ、本を読み、コンセントを発見したのでパソコンでらんまを観て、船が揺れ、

船が揺れ。

おえー。なんでこの船こんなに揺れるの。でかいフェリーなのに。船酔いなんて滅多にならないのに、気持ち悪くて横たえる。

夕陽を見にデッキへ行こうと思っていたのに、横たえているうちにさっさと沈んでしまっていた。

そしたらもうメリーヤだった。

予定より若干早い21時すぎに到着し、船を降り入り口付近で待っていると「ジャミラ?」

ドナが迎えにきてくれた。初めましてどうぞよろしくおたのもうします!

聞くと彼女はスコットランド人で、ここメリーヤで英語教師をしているそうだ。そして日本の神戸でも一年間、英語教師をしていたと。なるほど。

さらに彼氏がモロッコ人で、毎週のように土日になるとモロッコへ行っているそうだ。素晴らしい。

家へ到着、なんと一人部屋を与えてくださった。ありがたや。モロッコの話や日本の話に花咲かせ、近くのバーへ腹ごしらえをしにいく。

彼氏がムスリムなために、ドナも今のラマダーン期間中は酒を飲まないらしい。のでコーラを注文。するとタパスという、ドリンクを注文するとタダでもらえるちっちゃいおかずがやってきたのでいただく。魚やイカ、タコ、エビ、肉など色々な中から選べ、味もうまい。

がやっぱり量が足りないので普通に料理を注文。ピンチョスという、牛肉の串焼きとパン。うんめえ。スパイスなどはモロッコ風らしい。

そこでもあれこれとしゃべり倒し、家に帰ってもシーシャを吸いながらしゃべりたおし、音楽をきいてしゃべりたおし、2時頃ようやく落ち着いて就寝。

ドナがいなかったらメリーヤの夜立ち往生していたことだろう。

メリーヤ。ちっさいスペイン

ドナは午前中に一時間だけ、午後は4時から9時まで仕事があるだけなので、午前のレッスンの後メリーヤの町を案内してくれた。

モロッコ人の経営するカフェでランチにしようと行ったのだが、「今はフードメニューないよ。」と言われた。じゃあすぐ隣の席で食事をしているおっちゃんはどこから料理を手に入れてきたのだろう。

「メリーヤはいっつもこんなんよ。あれちょうだいって言ったらない。これは?ってきいてもない。だからいっつも、じゃあ何があるの?ってきかなきゃなんない。あほくさ。」とドナ

旧市街のほうにあった別のカフェで、サーモンとフィラデルフィアチーズのサンドウィッチとグリーンレモンティーを注文。うむ。なかなかうまい。ここのティーは全てシェイカーでふりふりシェイクしてくれるのだ。少し泡だっていてうまさ1.5倍。

旧市街を歩く。暑い。真昼間だもの。そしてスペイン語圏でよくささやかれる「チノ、チノ」の言葉がきこえてきた。「中国人、中国人」と。ささやくな。中国人嫌いじゃないけどチノチノと聞こえるか聞こえないかぐらいでささやかれるとイラっとしてしまう。ジャポーネですと。

海や、町が望める場所で写真を撮り、「もうあそこモロッコだよ」とドナに教えてもらい、いよいよアフリカ大陸に舞い戻ってきたことを実感し、暑さにやられ疲れて帰る。

シエスタの必要性が分かってきた気がする今日この頃。

異様に眠く、ソファに寝転んでいると熟睡してしまっていた。しかも真昼間なのに夢までみた。異様。

再び仕事に向かうドナをおぼろげに見送って、また寝る。

18時。寝すぎだろう。しかし何だこの倦怠感は。

無理やり体を起こしスーパーへ。またしても今宵お好み焼き。

ぱぱっと下ごしらえを完了して、ドラゴンボールを観ているとドナが帰宅し、同じく英語教師をしているオーストラリア人のホーリーもやってきて、「日本の形」という面白おかしい日本の伝統を紹介する作品を皆でみながらお好み焼きを食らう。

この日本の形シリーズは外国人受けがよく、時間も短いのでちょっとした話題作りに抜群の効果を発揮するのだ。

内容は、各自こちらなどをご覧の上お確かめください。

グッバイ欧州は驚くほどあっさりと

運良くタイミング良く、今週末もドナは彼氏に会いにモロッコに行くというので、彼女と一緒にモロッコ入りすることとなった。

メリーヤの銀行前にたむろするオッチャンから両替してモロッコの通過ディルハムを割と良いレートで入手し、荷造りをすませ、仕事を終えたドナとすぐさま出発夜19時。

「国境まで歩いていけます」メリーヤの町の小ささが窺い知れた。というわけで歩く。

2、30分で到着。大量の人や車がモロッコに向かおうとしている。「今の時間でこんなに人多いの初めてだわ。」とドナ。なにごとだ。

そんな中をかきわけ、イミグレーションへ。入国カードに記入し、スタンプポン。

あら?出国スタンプはおろか出国側のイミグレすらなかったよ。

まあいいだろう。

はっ!

スペイン終わってる!


モロッコ日記

スペイン(2009年9月4日〜11日)