鴨がネギを背負って現れる様子

バスはどこですか。はっはーん、これはもしや、あのパターンか。そうきたのかそうか。

置いてけぼりくらっちまったよ

ほんの数分、しかもバスのスタッフに、出国スタンプはここでもらうの?と尋ねてスタッフは「うんそこやで」とボクがイミグレーションオフィスに向かうところを見届けていた筈なのに。

置いてけぼりくらっちまったよ

とりあえず歩いてみる。と、「乗ってかない?」バイクにまたがった男に声をかけられる。新手の国境ナンパか?いやオレは男だ道理が合わない。「100セファ(20円)でどうよ。だってあんたあれだろ?置いてけぼりくらっちまったクチだろ?」な、なぬ・・・見抜かれていた・・・。

ちょっとこのまま歩いて入国側イミグレーションに向かってもし仮にそこで更に、ダブルパンチ的に置いてけぼりをくらうと、シャレになんないよ卍で、と鈴木紗里奈も我慢の限界をきたしてしまいそうなので、バイクタクシーを仕方なく利用する。

近っ!!!

ものの二分で到着したじゃねえか。無事バスも発見、入国スタンプももらい出発。

エアコンのせいか、昨夜の野宿で熟睡できなかったせいか、やたら眠い。そして眠ること以外にあまりすることがないので、ひたすら眠る。そして首を痛める。

首都のロメはガーナとの国境近く、海岸沿いにあるので、いわばこのバスは、トーゴを北から南へまるっと縦断する旅なのだ。長いのだ。

山道をぐんぐん走り行くこの感じ。どこか懐かしい風景だと思ったら、かつて訪れた東南アジアの国、ラオスに似ているではないか。雲が多く煙った雰囲気や緑の多さ。ああ、アジアへ帰りたい・・・

お決まりの、望郷妄想を繰り広げる。長時間のバス移動では、眠ることも済ませてしまうと、あとはこれぐらいしかすることがない。そしてやはり最終的に、うどん食べたい、という結論に辿り着く。

国境をぬけたのは正午あたりだったのに、もう陽が暮れているではないか。途中道端休憩でアボカドオムレツサンドを購入。本日初めてのまともな食物。アボカドとトマトをマヨネーズで和えてオムレツと一緒にパンに挟んじゃったこの絶妙なウマさよ。

なんて食事を楽しむのも束の間、二分で食べ終え、暇になってしまったので、またもや眠る。ひたすら眠る。

にわかに騒がしくなった車内。目を覚ますと、どうやら、らしい。ロメに到着したらしい。時計を見やると、針は深夜0時30分をさしていた。これまた見事に深夜着。今宵もまたバス停で野宿かな。

「さあ、降りな!」え?バス会社のオフィスは?バス停はどこだ?「ここだ。」ここ思い切り道端じゃないか。

困ったぞ。こんなに快適なバスを提供する会社のくせに、ロメにオフィスがないとは何事だ。仕方がない。車内で夜を明かそう。

と一人居残っていると「ほら!降りなっつってんだろが!」追い出された。諦めて、宿を探す。たかってきたタクシー連中の中から、バイクタクシーを選びまたがる。

事前に調べておいた宿へ向かう。がどうもこの男、「ああ、そこね。」と言いつつも所々で人に道を尋ねたりしているあたり、知らないようだ。まあ、こちらの人々は大概知らなくても知っていると豪語するので今更驚きようもないけれど。

まぐれだろう。今のはかなりの確率でまぐれだろう。きょろきょろしながら走っていると、突如左手に現れたのだ。目的の宿が。

「あちこち行って時間かかったから1000セファね。」とドライバー。ははん。何言ってらっしゃるんだか。お前は最初に、私が宿を知ってるかときいたら知っていると言っただろ?そして500セファだと合意しただろ?なのに何を今更倍額請求してるのでしょうかねえ?辻と褄が合わないねえ?

そんな言い合いをしている暇はないので、さっさと500セファを渡して宿へ。

んが、「6000セファです。」一番安い部屋で6000(1250円)。それはいただけない・・・高い。諦めて別の宿を探す。があてはない。そして改めて言うが時刻は既に深夜1時。

暗い夜道を大荷物背負って歩く。路上生活者が街灯の下で寝ていたり、こんな時間なのにまだアイスクリームを、ラッパをパフパフ鳴らしながら男が売り歩いていたりする中を。

するとそのアイス売りの青年に、「ボンソワール。何やってんのこんな時間に!?」えっと、宿を探してるんです。「どこか知ってるの?」うんとね、全然知りません。「ここの通りはセパボン(ノーグッド)だから、ダメだよそんな大荷物抱えて歩いてちゃ。まるで鴨がネギだよ。」え?そうなの?

市場まで一緒に歩くと、心配してくれた青年が、バイクタクシーの連中に事情を説明。「え!あんたここの通りそんな格好で歩いてたのか!危ねえぞ!まるで鴨がネギだ!」え!そうなの!?そうだったの!?そっか、じゃあ、仕方がないからさっき見つけた宿に戻ろっかな・・・ありがと!「おい!その道また戻るのか!?よしな!」あ!そうかそうなのか!?この道が、危ないのか?

「こいつが200で別の宿まで連れてってやるから!」でも4000ぐらいの宿じゃないと泊まれないんだ・・・。「そりゃロメでは無いな。5000ならあるぞ。」そっか5000か・・・仕方が無いか。時には安全をお金で買うのも正しい選択なのだ。んじゃ、連れてっておくれよ。

アイスボーイに礼を言いバイクにまたがる。ものの4分で到着。歩けたね。これは完全に歩けた距離だね。

寝静まった宿のチャイムをピンポンダッシュのダッシュ無しバージョンでしつこく押し続けると、主人が現れた。夜分遅くすみませんが、泊まらせていただけませんか?「6000だよ。」ここもか!えっと・・・こりゃ、参ったな・・・

しばし考える。どこか電灯のついた場所で朝まで座っていようか・・・どうせあと四時間程度だし・・・でももし襲われて身包み剥がされたら・・・でもたった数時間の滞在のために6000は痛手だ・・・

4000てわけにはいきませんかねえ?「そりゃ無理だな。ねえぞそんなとこ。」うーむ・・・じゃあ、

と手を広げて主人に向ける。5000で。「分かった。5000でいいだろう。」部屋見せてもらっていいですか?「ダメだ。5000払ってそのまま部屋に向かって寝なさい。もうこんなに遅いんだ。」

大人しく5000セファ(1040円)支払いチェックイン。部屋に向かうと、「ほれよ。」と石鹸とトイレットペーパーを支給された。こりゃ驚いた。こんなサービス西アフリカ史上初だ。

部屋も新しくはないがきちんと掃除されていて、シャワーとトイレ付きなのに変な臭いも漂っていない。なかなかやるじゃないかトーゴ。

シャワーを浴びて移動の汚れを落とし、随分車内で寝た気もするが、今一度眠りにつく。深夜3時。

あのままあの危険な夜道をうろうろしていたらどうなっていただろう。「鴨がネギだぜ」ととっ捕まえられてそのまま鍋にされていたに違いない。いい出汁とれたかな・・・。

日帰りツアーで故郷を見る


翌朝、クオリティはそれなりに高いがお値段もそれなりに高いこの宿に連泊は不可能だったので、必死に他の安宿を探し、近くにトイレ・シャワーは外だが4000という物件を見つけたので移動し、次なる目的地ガーナのビザをとりに大使館へ向かうも、タクシー代をケチり徒歩でいったがために、受付時間をまたもや過ぎてしまい、おまけに今日は金曜、土日は休みなので改めて月曜にこなければならなくなってしまった。

アビジャンでガーナ大使館へ向かったときもそうだった。20分過ぎていたのだ。ガーナ大使館とはどうも相性が悪いらしい。タクシーを使えば済む話だという意見は受け入れない。

日曜にはガーナに向かうつもりだったのに、少なくとも火曜まではここに留まらなければならなくなった。ので、

バマコで知り合い、ワガドゥグで再会しここロメで再々会したドイツ人の友達ダニエルに誘われ、クパリメという町へ日帰りツアーを敢行することになった。

朝7時に集合し、「今朝から腹の調子が悪いんだ。アフリカに来てから、下痢のパーセンテージが大体20%ぐらいだったんだけど、多分今もっと上がってるよ・・・30ぐらいかな・・・」ボクは中二の頃から基本的に下痢だから、うん70%ぐらいかな。

などと朝っぱらから下痢のパーセンテージ談義に花を咲かせつつ、バス停へ向かい、いざクパリメへ。一体それはどこにあるのだ。そして何があるのだ。何も知らないままついていく私。

バスが出る前に朝食をとろうとぶっかけ飯を食べていた男が、もう人数も集まって発車できる時間になっても戻ってこなかったので、ドライバーが憤怒し置いていこうとしたら慌てて食べかけのぶっかけ飯ごと乗り込んできて、さらにその屋台の主人が慌ててビニール袋を持ってきて「食器あとで返せよ!」と渡すというスポーツ紙の隅の4コマ漫画風な出来事を眺めて微笑みつつ、出発。

皆知り合いなのだろうか、いやそんなこともないだろう。なのに何だろうこの和気藹々感は。音楽に合わせて皆で歌ったり、ああでもないこうでもないとおしゃべりして大笑いしたり。先進国ではもはや見られなくなった光景の一つだなんて思いながらも、話が一切理解できないのでボクはジャミポッドを聴きながら一人歌う。

二時間程で到着。ダニエルの話によると、山が、あるらしい。そしてそこには、沢山の蝶が、いるらしい。なかなか素敵そうじゃないか。

家族に土産を買いたいというダニエルの意見を汲んで、市場を見学する。スパイスを作るのに使うミニサイズのすり鉢を探していると、八百屋のおばちゃんがすり鉢を売る人物のもとへ連れていってくれた。「これでしょ?」

それは実に、さるかに合戦用とでも言いたくなるような、巨大なうすでした。

「じゃなーくーてー、こんな、これぐらいのちっちゃいヤツ!お土産用に欲しいんだ。」とダニエルが改めて説明すると、すり鉢男は「ああそれなら家にある。月曜また来てくれよ。用意すっからさ。」「今じゃないと無理なんだよ云々」

などと話し合った結果、「ジャミ、ちょっと今から彼の家にバイクで行って、ぱぱっとすり鉢買って帰ってくるから、うーんそうだな、20分後に待ち合わせしよう!」あうん、いいよーそんじゃまたあとで。

絶っっっ対に20分で帰ってくるわけがない。ここはアフリカだ。少なくとも行きと帰りのバイクで40分、物色及び交渉に20分、一時間はかかるだろう。少なくとも。と見積もり、近くに見つけた教会へ足を運ぶ。

まるでアフリカのにおいがしないそこで、お祈りをするフリをしながら居眠りをする。結婚式でもあるのだろうか。何人かが教会内をデコレーションしている。

静かだ。市場の喧騒からここへ来たのでその静けさが実に心地よく、やわらかい風が吹くなか居眠りするこの素晴らしさよ。

丁度一時間たった頃目を覚まし、待ち合わせの場所に戻るも、やはりまだ帰ってきていない。そこでしばらく待つ。

待つことさらに40分。

イライライライライライライライライライライライラ。もううんざりしているのだ。待つという行為には。散々バスや電車に待たされて、そのためにアフリカを早く出たいとまで思っている今日この頃なのに、追い討ちをかけるようにまたまたまた待たされるなんて。畜生ダニエル何やってんだよ。

心を静めるため今一度教会へ戻り、居眠り。寝汗をかいて目覚めると、既に14時過ぎだった。いい加減帰っているはずだろう、と待ち合わせ場所へ戻ると、バツの悪そうな表情でダニエルが立っていた。

「ゴメン!すり鉢男が家までは7分だって言うのに20分かかるし、しかも着いてからすり鉢作り始めたりしてもう・・・とにかくゴメン!お詫びにここから山行くまでのタクシー代出すから!」

いいよ。ここアフリカだし、20分っていったってどうせ一時間はかかるだろうなとは思ってたから。でも二時間だったね。

まあ、タクシー代出してくれるならいいや。と機嫌を直し、バイクタクシーに三人乗り、通称3ケツで向かう。山道を奥へ奥へと進む。

高度を上げたところでふと風景を眺めると、おや?これ、前の、「ここラオスみたい」の時よりさらに懐かしいぞ?一体この風景は・・・

はっ!我が故郷ジャポンだ!!!ジャポンの、西の、ボクが生まれ育った、お遍路さんと呼ばれる白装束を着た連中が練り歩くことで有名な彼の地にそっくりだ・・

バイクに3ケツで風を受けながら、故郷に似た風景を走り行く。さっきまでずっと待たされてイライラしていたのなんてもうどこ吹く風状態で、すっかり気持ちよくなってしまった。

途中、路上の果物売りで、エボとよばれる謎の、ドリアンのご親族様でいらっしゃいますか?と尋ねずにいられないような形をしたフルーツを購入、ドライバーのエリック、ダニエルと三人で食べる。

酸っぱい。糖分たっぷりで甘いのを想像していたので意表をつかれたが、酸っぱいフルーツ好きのボクとしてはなかなかイケるクチだ。「うわ!すっぱ!すっぱー!!」とダニエルは顔をしかめながら半分食べると満足していた。彼が梅干を食べるときっと、いい画が撮れる。

それから、そこらへんに生えているカカオやコーヒーの木をエリックに見せてもらい、歩いて山の頂上へ向かう。

聞くところによるとここに、まばゆいばかりのお蝶夫人集団がたむろしているそうなのだが、まるでいない。岡ひろみすら見当たらない。「蝶は朝方に多く見られるんだってさ。」それは残念だ。

しかし涼しい。雲行きが怪しくなってきているのもあるが、幾分か標高が上がっているからだろう。ここ最近はバマコ、アビジャン、ワガドゥグと、都市部から都市部への移動しかしていなかったので、久々に自然に囲まれた場所へやって来れた気がする。

眺め自体は、曇りすぎててよくわからないし故郷と然して変わらないので大して新鮮味はないが。お蝶夫人も影をひそめているし。

時折雷が光ったりして益々雲行きが怪しくなってきたので、クパリメの町へと帰る。それからちょっと休憩していこうとレストランに入った瞬間

凄まじい勢いで雨が降り出した。今まで泊まったどこの宿のシャワーよりも強い水勢に少し感動し、せっかくなので顔を洗ってみる。

そして停電。ダニエルはピザを注文したりしているが、どのメニューも驚きの高さだったのでボクは静かに着席するのみ。

時刻は既に18時前。ロメへ帰るバスを捕まえなければならないのに、この凄まじいスコールじゃ身動きひとつとれやしない。

困ったなー困ったなー、やばいなやばいなーなんて思っていると(稲川?)、雨は小降りになっていました。

今こそチャンス、念のためやたら持ち歩いている電子機器(カメラ、ジャミポッド、携帯電話、懐中電灯、電池式ベープ)をビニール袋に詰め込んで、再びエリックのバイクに3ケツでバス停へと向かう。

ぶるぶるぶるぶる・・・・寒い。雨に濡れた体を冷たい風が横切ってくださるおかげで。しかし何故こうも寒さに弱いのだろうボクは。前世は腸炎ビブリオのはずだが、もしかすると寒さに弱い、とってもナイーブな温室育ちの観葉植物だったのかもしれない。

丁度皆雨が上がるのを待っていたらしく、タイミングよく出発直前のバスに乗り込むことができた。エリックに礼を言い、別れを告げる。辺りは既に真っ暗だ。

非常に視界が悪い中、ドライバーはぐいぐいと飛ばしてゆく。「ジャミ、これ前見える?」とダニエル。うん全く見えないよね。しかも突如ニンゲンが現れたりして危険きわまりないよね。でもきっとドライバーには見えてるんだよ。全てお見通しなんだよ。「そうかなあ。」

日帰りツアーに少し疲れたのか、頭をもたれさせるところがないのでバスがブレーキをかける度に物凄い勢いで、富士急のアトラクショントンデミーナなみにぐいんと振り回されるが、それもおかまいなしで眠る。

そして毎度おなじみ、路上販売にさしかかり、窓の外から、カゴに入ったオクラやトマト、イモなどを頭にのせた物売り達の「ドゥサンドゥサンドゥサン!(200セファやでー!!)」と叫ぶ声に目を覚ます。

え!あれでドゥサン(200セファ。約41円)!?

カゴにたっぷり入ったトマト。一つ一つはプチトマトより幾分大きいぐらいのサイズだが、数にして30個はあるのではなかろうか。あれで200は安すぎるだろう!!!

あまりのトマトの安さに眠気も吹っ飛んでしまった。バマコやワガドゥグでは、たった4個で50とか100とかしてたのだから驚くのも無理はない。

それからしばらくずっとダニエルに向かって、いやーあれ安いよ!ねえあのトマト!やっすいなあー!!ね!

としつこいほどに語りかけていると、ロメに到着した。ただいま。ダニエルは明日ガーナに向かうそうだ。ボクはまだビザのために滞在しなければならない。ではまたガーナで再々々々会しよう!と約束し別れる。

かくして日帰りツアーは幕を閉じた。日帰りツアーの何が良いって、荷物が少ないのが良い。あの30キロにも及ぶ荷物、どうやったら減らすことができるのだろうか・・・文明を手放せない男のサガ。

暇なんです

日曜って、嫌いです。何を突然とお思いのあなたはきっと、きちんと働いて、きちんと社会生活を営んでいるきちんとした人なのでしょう。だから日曜が嫌いだなんて聞くとそんな奴の首をへし折ってコンパクトに畳んでやりたくなるでしょう。

でも、働かず、日本社会を飛び出し旅をしている僕にとってそれは、日曜は、とてつもなく不便極まりない曜日以外の何物でもないのだ。

だってみてごらんよこの通りの閑散とした様子を。店という店が閉まってまるでゴーストタウン。おかげで大使館は開いてない両替はできない買い物はできないインターネットはできないないないないないないないだらけでもう頭めっちゃんこ爆発しそうだぜ(ミポリン)。

何故こうは考えないのだろうか。「日曜は皆休んでやがるから、オレだけ店開けてれば、これちょっと儲けになるんじゃねえか?」代わりに平日休んでしまえばいいじゃないか。そうしようよ。アフリカの商人よ。

そして何故もっと工夫を凝らしたりしないのだろうか。例えば路上の果物売り。少し気をきかせてカットして袋に入れているのはいいけれど、そこまでしたなら、冷やそうよ。なんなら凍らせちゃうほどの勢いで。水はしっかりクーラーボックスに入れて売ってるじゃないか。もう一息じゃないか。冷たいフルーツ、きっと皆次々に買って行くはずだよもし存在したなら。

さらに例えばそこらじゅうに溢れているカフェ。どっこもかしこも同じメニュー掲げてばかりで。増やそうよラインナップ。バラエティ豊かにお送りしようよ。サンドウィッチの具がオムレツのみってどういうことだよ。オニオンやトマトを卵と一緒に焼くとこまで来たなら、もう一息じゃないか。時々屋台で見かけるような、ゆで卵とマヨネーズとおまけにアボカドなんかをまぜまぜしたサンドウィッチをカフェでも出せば皆寄ってくるはずだよもし存在したなら。

それから、飯のクオリティ。果たしてアフリカ人達は、「あそこの屋台超うまいらしいよ。」「えーうっそまじで?まじでまじで?今日のランチそこにしよっか。」などとうまい場所を求めてあちこち行き来したりしないのだろうか。作り手は、「もっと旨い飯を。集客率アップ!」と努力して精進したりしないのだろうか。

これまたどこもかしこも似たりよったりな味、メニューで、スパゲティに至っては、日本だと二秒でつぶれちゃうよ・・・と悲しみたくなるような茹ですぎ麺ばかり。

そしてここロメは特にそれが顕著で、ことごとく、うまくもない飯ばかりだ。そりゃあ、もっとお金を出してレストランに行けば見つかるだろうけれど、そうもいかない貧乏旅行者としては、屋台で、路上でうまい飯にありつきたいのだ。

なのに、何なんだこのフフという謎のローカルフードは。ブルキナで食べたトーに似ているが、それよりも酷い。びっちゃびちゃの肉まんの具なし、のようなものにトマト風味のソースをつけて食べるのだが、これがもうなんだか、すみませんでしたとこっちが謝りたくなるほど不味い。やたら酸っぱいうえに、炭火で蒸しただか茹でただかしたせいか、タバコの吸殻のような味が染み付いていて・・・ボクのナイーブな胃が悲鳴をあげて、危うく胃液を上昇させるところだった。

お残しは嫌いなのに、おばちゃんも笑顔で「うまいだろ?」と聞いてきてくれたのに、文字通り苦笑いしかできず、結局4分の1ほど残してしまったではないか。アーメン。

異文化を受け入れるのは容易いことではないと改めて実感・・・。きっと納豆を嬉々として食べる我々日本人を見つめる外国人もこういう心境なのだろう。

できることが、することが何もなく、要するにとてつもなく暇だったので、アフリカ人に対する不満や要望を書き連ねてみました。

ほら、日曜なんてろくなものじゃない。

アフリカのカツオ君

魔の日曜をのりこえ、ようやく月曜、諸事をさっさと済ませるべく朝からあちこち歩きまわる。そして両替をしに銀行へ向かったらば、現れた闇両替商の連中。

「チェンジマネー?ダラー?ユーロ?ヴィエンヴィエン(おいでおいで)。カムヒヤ。」

セファが足りなくなってきたので入手したいのだが、翌日にはガーナに向かうためそんなには必要ない。がしかし手持ちのユーロは50ユーロ札しか残っておらず、そんなに両替したところでまたガーナの通貨に換えなければならず、そうなると絶対に損するはずだ。なので細かい紙幣がいくつかあった米ドルを換金したい。

闇両替の連中にレートをきくと、1ドル=450セファとのこと。大体今までの両替所でみてきたレートと同じだったので、いいか、では40ドル両替しよう。と告げると

「見せて。金見せて。はいよこして。」いややっぱそんなに要らないかな、30ドルにしとくわ。

「渡して。さっきの10ドル渡して。」は?何でだ何がしたいんだ?30だけにするっつったのよわしは。

「分かった。じゃあはいこれね、いち、に、さん、しー・・・」まず先に2000セファ札を6枚よこしてきた。ちなみに30ドルをさきほどのレートで換金すると、13500セファ。つまりあと1500セファもらわなければならない。

「えーっと、今いくら渡したっけか?ちょっと貸してみてそれ。いち、にー、さーん、しー・・・えーと?」ボクの手元から一度渡した紙幣を取って数えるフリをし始めた。ははん。こうやって小額の紙幣を多く渡して、途中で数えなおしたり話をそらしたりして誤魔化そうという魂胆だな。

お前はカツオ君か。

「ねえさん、こないだ借りた100円返すよ。100円玉ないから10円で返すね。よーくみててね。いち、にー、さん、しー、ごー、ろく、しち、はち、あれ?ねえさん今日何日だっけ?」

「9日でしょ」

「じゅう。はい、ちゃんと返したからね。」

昔サザエさんで見たカツオ君の詐欺術そのものじゃないか。(説明は不要かと思われますが、カツオ君は90円しか返しておりません。念のため。)もしかしてお前、日曜の夕方はテレビにかじりついていたクチか?

しかも残りの1500セファをよこせと請求していたら、急にまた電卓を持ち出して、「はい、小額だから1ドル425セファね。」などとぬかしはじめたのでだったらおめえとなんか両替しねえ。と米ドルを取り戻し普通に銀行の両替窓口へ向かう。

しかしあんな手に引っかかるヤツがいるのだろうか?計算が苦手なボクですらあんな縄文時代並みの手口にはひっかからないぞ。いるのだろう。それを生業として彼らがやっていけているのだから。他にも偽札や色々手はあるのだろうが。

などと偉そうにいいつついつかどこかでひっかかった暁には、しっかり報告させていただきます。

そして、銀行の窓口で普通に両替したら、正規の固定レートで、米ドルは使えなかったものの50ユーロを渡すと30ユーロ分だけ両替して、20ユーロをそのままユーロ札で返してくれ、さらにコミッション無しという素晴らしい好条件だった。めでたし。

愉快だ、なーーーーー

さようなら東郷


翌朝、ガーナビザを無事取得しすぐさま荷物をまとめ、出発。通りですぐにバイクタクシーがつかまり、国境まで向かう。

なんせ、国境までバイクで10分の距離だもので。こんなに国境が近い首都に来たのは初めてだ。

若干余ったセファのコインを使うべく、水を購入したりしてイミグレーションへ。どこからともなく男が現れて、「アクラ(ガーナの首都)に行くのか?だったらオレがタクシー用意してやるから、こっちこっち。まずはイミグレーションね。」とやたら甲斐甲斐しく案内し始めたが、案内されなくてもイミグレーションは目の前だ。

そしていつものようにあっけなく出国。

わざわざアビジャンからワガドゥグに戻って、ガーナを迂回してまでやってきたトーゴ。

の割にはクパリメにしか行かずあとはひたすら首都のロメで何をするでもなく数日をつぶしただけであった。これもいつものことながら傍から見れば「この子何しに来たんやろう?そもそも何目的で旅してはるんやろう?」な状況だが、構いません。オレ、トーゴ行ったよ。と言えるから少なくとも。


ガーナ日記

トーゴ(2009年12月10日〜12月15日)