右目腫れる

久々に某地球の歩き方インド編を開いて行き先を調べていると、丁度バスがやってきて、チェンナイの中心部エグモア駅へ行くというので乗り込む。30ルピープラス荷物代として10ルピーもとられた。こんなに高い市バス初めてだったが、他のインド人達も払っているので素直に払った。

20分もしないうちに到着。この距離で40ルピーはやはり高い。駅周辺に宿を探すも、どこも高そうだったので、某地球の歩き方インド編に載っていたパレスロッジという宿を目指す。

歩いていると客引きのオッチャンが現れて、三人で200ルピーだというので見にいってみる。少し裏手に入ったところにあった。うむ。安いし、屋上の部屋なのでのんびりできそうだ、しかし、夫妻と一緒の部屋でお邪魔じゃなかろうか?「かめへんよ」キメた。チェックイン。

イスラエル人にもらったハンモックを早速屋上で吊ってみる。木陰等直射日光を遮るものが何もない場所だが、なかなか楽しい具合に吊れた。交代々々で乗る。うほっ楽しいじゃないか。

三線などもちょろっと弾いてみて、飽きたのでチョイ寝(ちょいと寝ること)。僕はいつもうつ伏せで寝る癖があり、この時も枕に顔をうずめてうつ伏せで寝ていたのだが、少しすると突如右目にチクリと刺すような痛みが走り、目をさました。みると枕をアリが徘徊していた。徘徊ついでにあの強靭なアゴの力でもって僕の右目を噛んでいきやがったのだ。さすが自分の体の57倍の重さまで持ち上げることのできるアゴの持ち主。感心していられない。いったー。

間もなく痛みもひいたので、ジャージやジャンパーなど、日ごろ洗いにくいものをこの際洗ってみる。随分長い間洗っていなかったため、ドス黒い液体が次々と流れ落ちた。

「ジャミラ目腫れてるで」とミエさんに言われ鏡をのぞいてみると、見事なまでに右目がぷっくり腫れていた。アリんこめが。この私をよくもこんな目に。枕、シーツ、マットレスを干す。出てゆけアリ共。

腹が減ったので駅の近くまで歩き食堂でベジフライドライスをぺろり。それから一人銀行を探し歩きまわる。借金を返さねば。そして今後の旅資金を調達せねば、そのうち路上で果ててしまう。セントラル駅というところまで歩く。何軒か銀行はみかけるものの、プラスカードの使用できるATMがどこにもない。

確かバラナシではいつもHDFCという銀行のATMでおろせていたので、その銀行があればきっとおろせる、と思い近くに突っ立っていた警備員のオッチャンに尋ね、教えてもらう。HDFC銀行を目指し、何度も人に尋ねながら歩いているとUnion Bankという銀行の小さなATMをみかける。プラスカードの表示もないし、こんな小さなところじゃ無理だろうと思いつつも試してみる。

ヤッタネ。おろせた。調子に乗って10000ルピーもおろしてしまった。インターネットをしていた夫妻のもとへ戻し、借金を返済。無利息とはありがたい。自分もメールなどをチェックして、夜になったので、レストランで夕食。スペシャルターリーという、ターリーにスープ、ボトルウォーターもついてくるセットを注文。ボリュームたっぷりでうまいし何より安い。そして水がぎんぎんに冷やされているのが嬉しい。

宿に帰り、シャワーを浴びたら各自本を読んだりとくつろぐ。

蚊に費やす一日


深夜2時半、プーン、ンーン、というあの史上最も不快な音をたて飛び交い、吸血する物体、蚊のせいで目を覚ます。耳元でやかましいわ献血しすぎてかゆいわ、頭が狂いそうなので屋上のハンモックで寝てみる。外のほうが蚊がいなかったり、しない。プーン、ンーン、コンバンハー、チュゥゥゥゥ。やめい!

諦めて部屋へ戻り、もう一度寝てみる。早朝4時。ピヤーン、ンーン、チョリース、チュゥゥゥゥゥゥ。こらららあああああああああ!!!!発狂して目を覚ますと、タカさんミエさんも同じく眠れなかったらしく、電気をつけ蚊取り線香をたいて、三度寝る。

8時半起床。「だっははは。ジャミラ顔お岩さんみたいなってるで」おはようの一言もそこそこに僕の顔をみるなり笑い始めたミエさん。失礼な。人の顔みて朝っぱらから笑うなんて。どれどれ、鏡をのぞいてウワ!お岩さん!昨日アリに噛まれた右目がさらにぷっくり腫れてみるも無様な仕上がりに。

ぐだぐだと過ごし10時半、宿の前の屋台で朝食。ヴァダという鬼のように美味い揚げ物と、イドゥリを食べる。なんだこのヴァダの美味さは。つくづく美味い。誰だインドはカレーだけだなんてほざいていたのは。むしろカレーのほうが少ないじゃないか。

エグモア駅のほうまで歩き、商店をみてまわる。蚊帳と、それからオドモスというインド産の虫よけクリームを探しているのだ。オドモスはあっという間にみつかり、すぐさま購入。このオドモスがまた絶品で、いや食べ物ではないが絶品なのだよ、虫をよせつけないばかりか、ものすごくいいニホイがするのだ。なんなら香水代わりに塗りたくってもいいほどに。

蚊帳がなかなかみつからないのでセントラル駅のほうまでバスで向かう。何軒かまわると98ルピーの蚊帳を発見。紫色という、吊るすと昭和のラブホテル風になっちゃいそうな妖しい色のそれを購入。

今夜は蚊に悩まされることなく眠れそうだ。インターネットカフェへ行き、長々と二時間近く画面を見つめ、そろそろ帰ろうかと外へ出ると、「やあ」とごくごく自然体で、ヒロシさんが歩いていた。

アンダマンのニール島で別れ、船で帰った僕達の少しあとに、飛行機でひゅんと帰ってきていたらしい。そしてこれから電車で西へと向かうそうだ。しかしよくもまあ連絡もなしにこう何度もばったり会えるものだ。

特にすることもなかったので、皆でヒロシさんの見送りをしに駅まで。電車に乗り込むところまで見送って、バイバイ!

ヒロシさんが教えてくれたプリンがウマいレストランへ行ってみる。プリン三つください。ぎゃあ。プリンやんさー!プリンなんて食べるのいつぶりだろうか。甘くてプリンプリンしていて、ああ美味い。

ちょっとプリンなんて食べちゃったものだから勢いづいて腹が減り、もう夕食を食べちまおうと昨夜と々レストランへ。中華ターリーという、それってもはやターリーとは呼ばないんじゃ・・・と言いたくなるのを飲み込まざるを得ないような名前の、中華プレートを注文。炒飯、からあげ、ロティに中華風スープ。うげえええ。何で。何でこんなに美味いのお前は。そして安いの。

宿へ帰り、戦闘準備。蚊帳をはり、窓を開けて風を通す。大丈夫。蚊帳があるから窓を開け放していたってオレ達は無敵さ。シャワーを浴び、ボディクリーム気分でオドモスを体中に塗りたくる。うーんいいニホイ。さあどっからでもかかってきな無力な蚊ども。ふふふ・・・寝。

川の字で寝ているのはとある夫婦、と謎のアジア人

よく、よおく、眠れました。蚊帳とオドモスのおかげさまで。ざまをみろ低脳な蚊どもが。ただただまっしぐらにオレ達をめざして飛んできては、蚊帳にひっかかりそこで立ち往生している。ふはは。なんと浅ましい、愚かなお前達。ふは、ふははは・・・「おはようお岩さん」ゲ!まだお岩さん。

荷造りをして10時前にチェックアウト、屋台で今日もヴァダをいただく。いやしかし美味い。このサクサク感と豆の食感。風味。

大荷物を再び担いでバス停まで。27Bのバスに乗りCMBT、セントラルなんたらかんたらバスターミナルへ向かう。到着。バス「ターミナル」らしく広い。そこでチェンナイから少し南に位置するマハーバリプラムというところへ行くバスのチケットを購入。乗り込み、荷物を置いて旅のお供のポテチを買いにゆく。お目当ての大袋入りのやつがないので、気がつけば少しバスから離れたところまで来てしまっていた。すると「ジャミラもうバス出るで!」とミエさんが走ってやってきた。なぬ!?大急ぎで小袋ポテチを買ってバスへ戻る。

「もうお前ら次のバス乗れよ!」と言われていたのを二人が止めておいてくれたらしく、若干運転手と険悪なムードに。申し訳ない。険悪ついでに運転手が「荷物代をよこせ」と言ってきたので、何じゃそれ、んなもん払うか。と返すと「じゃあとっとと座れ」と言われ出発。

気をとりなおしてジャミポッドで一人カラオケ。清清しい。何度も言っているが、この瞬間がたまらなく好きだ。二時間少々走った頃、目的地マハーバリプラムへ到着。宿探し。

何軒かまわり、シルバームーンという宿の屋上の部屋が三人で250ルピーだったので、チェックイン。というか、また三人部屋で、お邪魔しちまっていいんですかね・・・「かめへんよ」

近くのレストランでターリーを食べる。途中出くわした日本人の男性も一緒に。団体客が来ているらしく店内はかなり忙しそうだ。コーラを一本だけ注文すると、四人分持ってきたので一本しか注文していない、と言うと「四本って言っただろ!もう開けちゃったじゃないか!飲めよ!」とオッチャン。誰がそんなこと言った!一本しか注文してねえづら!「もうでも開けちゃったんだよ!飲め!」まあ、手をつけずにおいておけば払う必要ないでしょう、ということで一本だけ飲み、あとの三本は放置しておいた。

会計の際若干不機嫌そうだったものの余分な三本分は払うことなく済んだ。当たり前だけれど。

それからその日本人の男性と別れ、村の方を目指してみる。きくと村の方に安い宿がひっそりと点在しているそうなのだ。ミエさんは五年前にここへきたことがあるらしく、うろ覚えの道を歩く。路地に入り込んでは行き止まり、というのを繰り返し、少年に道を訪ね、歩きつづけると「あ!ここ知ってる!というか泊まってた!」とミエさん。

宿の主人の顔も覚えていたらしく、昔とまったことがある旨を伝えると、主人は「ああ君か!」と喜んでいたが、本当に覚えていたかどうかは定かではない。明日こちらに移動しに来ると約束して、シルバームーンへ帰る。

僕達がチェックインした時はまだ部屋の掃除が終わっていなかったので、終わり次第スタッフが荷物もろとも責任持って部屋に入れておいてくれると言っていたので、それではカギをください、とさっきのスタッフに言うと「あの、実はね、荷物部屋に入れたとき、カギ中に置いたまま閉めちゃったんだ・・・」ナヌー!?小さな窓から覗くと確かに部屋のカギがチョコンと置かれている。どうすんの!?

細長い棒を持ってきたので、それでこちらへ手繰り寄せる。徐々に近づいてくる愛しいお前、カギ。大分近づいたところで、僕の腕を突っ込んでみる。と、とれた。ほっ。一安心。インドで激ヤセしておいてよかった。この細い腕がなかったらカギは取れなかったろう。

一安心ついでにスタッフに喝!とカンチョーを一発かまし、ようやく部屋へ。床もタイルばりで綺麗だし、眺めもよい。

洗濯をすませ、夕陽を眺める。太陽は今日もでっかい。屋上で三線をひいたり、ジャミポッドを聴いたりとくつろぎ、急激に空腹を覚えたので近くのレストランを何軒かまわってドリームランドレストランというところでエビチャーハンを注文。観光客向けの少し高いレストランだけあって、パスタなど洋食も充実している。無論うまい。ここマハーバリプラムはタミルナードゥという州にあって、こちらの人々はヒンディー語ではなくほとんどがタミル語を喋るそうだ。店員のインド人に少しタミル語を教えてもらい、「ちょっと英語で会話してみいひん」とのミエさんの提案により、英語で口ゲンカ大会開催。「お前キモいんだよ!」「あんたって超むかつく!」などと突然英語でケンカを始めた日本人に、隣の西洋人客が少し驚いていた。

宿に戻り、ちょっと贅沢しちゃいますか、と宿のレストランでフライドポテトとバナナスプリットというデザートを注文し、それをつまみに大富豪。懲りない奴ら。

しかしあまりにも蚊がここぞとばかりにたかってきて試合に集中できないので、部屋に戻り、蚊帳の中で再開。そうまでしてもやりたくなっちゃう大富豪。ミエさん連勝で終了し、キングサイズのベッド一つに夫妻と、僕の三人が川の字で眠る。僕って一体何者。仲良し!ということにしておいてもらおう。

大地に沈む夕陽を生まれて初めて拝む

結局、五年前にミエさんが泊まった宿とここシルバームーンの値段が大差ないし、移動が面倒くさくなってしまったので、このままここに泊まることにして、近くのカフェで朝食。昨日知り合った日本人男性、「柴犬に似てるってよく言われるんだよね」と豪語するシバケンさんも一緒に。

シバケンさんは日本でヨガを教えているらしく、こちらにも長いことヨガの勉強で滞在しているそうだ。その話を色々ときかせてもらい、皆でマハーバリプラムの観光名所、ファイブラタ、という、遺跡をみにゆく。

が、入場料がそこそこするものだったので、僕は外からの眺めを撮影するだけでお腹いっぱいです、と遠慮し、シバケンさんもミエさんも前に観たことがあったので、タカさん一人入場。残った三人は近くの屋台でチャイ休憩。「今丁度フィッシュマサラできあがったんだけど、あんたたち食べない?」とおばちゃんに言われたので、一皿を皆で分ける。

お次は海岸寺院という、まさに海岸にそびえ立つ寺院へ。ここも、入場料が必要だったので、外から盗撮するので充分です、と遠慮し、やはりタカさんのみ入場。シバケンさんはちょいとどこかへ行くというので、僕とミエさんはその寺院の周りを歩く。ビーチがあったので足を伸ばしてみるも、汚い。岩がごろごろとしているところを歩いて寺院の真裏へ。やたらアンモニア臭がするのはあれか?インドの民がこの神聖な寺院の真裏で放尿の儀を執り行っているからか?

そうらしい。今も少し離れたところで堂々と、神妙な面持ちで放尿するものありけり。世間の鼻つまみにされちゃうよ君たち・・・。などと考えつつ日記を書いていると、シャーペン、シャープペンシルを、落っことした。岩の間に間に・・・。あのシャーペンは、もうかれこれ二年近く愛用しているもので、そうやすやすと、諦められない。必死に岩の間にもぐりこむ。はっ!発見!もう少し・・・手を伸ばす。あと少し・・・よしゃ!とったどー!不覚にも某おバカの天才芸人の決め台詞を大声で叫んでしまった。そしてそこでガッツポーズをした際シャーペンを口に挟んでいたのだが、それをみたミエさん「あんたそれ小便まみれの岩の間から拾ったもんやろ!?汚っ!」おえ!思わずもう一度落っことしそうになってしまった。放尿ララバイ。

波打ち際でジャンプをし続ける全裸のキッズがいたので、それを撮影。波が来る度にそれをよけようとジャンプし続ける彼らのひたむきさに心打たれた。

海岸寺院を、入場しないどころか外からすら観ようとせず関係のないことばかりしている気がするが、まあかまわないことにしよう。無理やり観られたって寺院も気持ちよくないだろう。「イヤイヤ観られるぐらいだったら放尿されたほうがましよ!」放尿はだめだよ寺院さん。

タカさんと合流し、レモンジュースを発見し飲む。うーむ。違う。あのアンダマンの何ともいえない絶妙なしょっぱさがない。宿に戻り、屋上で、断髪式。そこそこ伸びていたシバケンさんの頭を、刈る。そう、僕はバリカンを持ち歩いているのだ。だから何。

シバケンさんついでに僕も断髪。が、気分的な問題で坊主にはしたくなかったので、夫妻が持っていた17万円の高級ばさみで切ってもらう。さっきバリカンを持ち歩いていることを少し自慢げに語った僕が阿呆みたいじゃないか。何故17万円もするはさみを美容師でもない彼らは持ち歩いているのか。

ぐんぐん切ってもらい、ボッサボサの天然パーマにヒゲ面がインド人そのものと化していた僕はみるみるうちに好青年に。これなら校内の身だしなみ検査も難なくクリアだろう。

中身まで好青年になった気になって、爽やかな笑顔をふりまきながらおしゃべりをしていると、陽が沈み始めたので、近くの丘まで足を運ぶ。

大きな岩の上に腰かけ、でっかい夕陽を静かに眺める。さっさと雲に隠れてしまったので、もう沈んでしまったか、と思いきやその雲を通り抜け大地に呑まれるようにでっかく沈んでいった。地平線、とまではいわないが、あんなに山も、大きなビルも遮ることなくでっかく沈んでいく夕陽を、僕は初めてみた。遠くまで広がる小さな町の向こうに、でっかくでっかく沈んでいったのだ。好青年効果も相まってなんだか予想以上に爽やかに感激してしまった。

暗くなってきたので夕食をとろうと歩いていると、なにやら人だかりが。 みると南インドの伝統舞踊大会が開催されているらしく、南インドの音楽にあわせて不思議に舞うじょせ、男!?化粧をした男が女性のようにしなやかに舞っていた。表情から指先まで全身で舞う細やかさに、さらに爽やかに感動。

バス停前のレストランで、チキンフライドライスを注文、ぺろりとたいらげ、どこからともなく沸いてきたインド人達と記念撮影をして、リトルカフェという、まんま小さなカフェであれこれと喋り倒す。大笑い。

21時半頃宿へ帰っていると、通りでど派手なパレードが。見覚えがある。カジュラホでみた、結婚パレードの類だ。やはりそうだった。某施設の某電子パレードの縮小インド版、といった感じだが、結婚のパレードにしてはかなり豪華で、楽器隊、新郎新婦を乗せた電飾まみれの車、それに通りすがりのインド人も入り乱れて、大変なにぎわい。それに南インドらしい音楽と太鼓の、ビートがかなり、東京の少年風に言わせてもらうと、渋かったっつうかなんつうか。

「ジャミラーーーーー!!!!!」

誰ですか人が渋いビートに現を抜かしているときに名前を呼ぶのは。ってギバちゃん!アンダマンで別れた、チェンナイのフランス人大学生ギバちゃんではないか。全く予期していなかったタイミングで三度目の再会を果たしたので互いに興奮してしまった。「ついさっき、ふと思い立ってここまで小旅行にきたんだ!」ほほう、するとますます不思議な再会だあな!縁があるのだろう。

またあとで遊ぼう、と別れ宿に戻る。今日も川の字で爽やかに眠る。

移動。特に際立ったハプニングはなし

9時にのっそりと起床し、シバケンさんもやってきて四人で朝食へ。プリーとヴァダを注文。チャイでほっと一息ついて、荷造りをしに帰る。朝のチャイがないと、一日が始まらない気がするというほどに、チャイはインドでの日々に欠かせないものとなっている。こんなにも暑いのに、毎日毎日さらに熱いチャイを欲するなんて、一体全体どうしたものか。インド人に近づいてきているのだろうか。

11時にチェックアウトし、歩いてバス停まで。トマトと塩を購入して、乗り込む。ここでシバケンさんとはお別れ。またどこかで!走り出したバスに揺られ、ジャミポッドでカラオケ。さあ窓を開け心地良い風に吹か、あれ?開かない。窓が壊れて開かない。心地良くない。悔しいのでトマトに塩をふって食べる。

途中休憩をはさみつつ二時間強走り、目的地、の中継地ポンディシェリーという町へ到着。ここからラメーシュワラムという町へ行きたかったのだが、直行バスがなかったので、そこの少し手前のマドゥライという町行きのバスのチケットを購入する。出発は21時半。まだまだ時間があるので、少しポンディシェリーを観光してみることに。

クロークにバックパックを預け、歩く。近くの食堂でパラタを食べる。南下するにつれ徐々にパラタの値段が上がってきている気がする。いただけないが、いただく。

海の方へ向かって歩く。ふは!ここもアンモニア臭。ねえインド人の皆さん、世間の鼻つまみにされちゃうよそんなに放尿ばかりしていたら。でも、世間全体が鼻つまみだから、大丈夫か。皆して放尿する社会。

ここポンディシェリーはかつてフランスの植民地だったらしく、その雰囲気が今も残っている。おフランス風の整った街並みがみえてきた。そしてピザハットを発見。ピザハットもどこかおフランスの街並みに合わせお洒落な外観。う、うまそう。そしてた、高そう・・・。ピザハットなんてセレブのみ行くことを許される店だろう。

海まで辿り着き、岩に腰かけしばらく休憩。最近は志賀直哉の本を読んでいるのだが、なかなか馴染めない。まだまだ僕も浅いらしい。

海沿いにカフェをみつけたので、そこで一番安いアメリカンコーヒーを注文し、二階で海を眺めながらおフランス気取りでしゃべる。海風が肌に心地良い。18時半、陽は反対側に沈んだので見られなかったが、きれいに満ちた月が顔を出していた。

そんな月を背にバス停へと戻る。途中18ルピーの激安フライドライスをみつけたのでドカ食いし、長距離のバスになりそうなのでお菓子を買い込み、待機。

21時半頃ようやくマドゥライ行きのバスが到着し、乗り込む。荷物を足元に置かなければならなかったので、かなり窮屈な仕上がりに。体操座りのまま出発。がしかし窮屈なバスには割りと慣れているので、気にすることなくジャミポッド。カラオケをしていたら間もなく眠気を覚え、就寝。

んん・・・誰ださっき窮屈なのには慣れているなんて偉そうに言っていたのは。寒い。窓が閉まりきらずすきま風が吹き荒んで寒い。痛い。体勢が一定なので首が痛い。悪い。道が悪くばったばったとバスが跳ねて、苦しい。・・・・・しんどい。

マドゥライ滞在一時間半、スリランカに最も近い町ラメーシュワラムへ

思わぬところで苦労を強いられた一夜をどうにか切り抜け翌朝7時、ようやくマドゥライに到着。休息をとる間もなく急速に目的地ラメーシュワラムに向かうべく、すぐさまバスの時間をきく。8時半に出発だそうなので、それまで朝食などをとる。

バスターミナル内の屋台でイドゥリとヴァダとチャイ。当方中学二年以来ずっと胃の消化が良すぎる状態にあり、物を食べるとすぐさま便意を催すなんともシンプルな体のシステムの持ち主で、案の定便意を催し、トイレへ。

有料トイレ。みるとインド人皆1ルピーを払っていたので2ルピーコインを渡しお釣りをくださいと言うと、「ノー」とぬかしやがったので、他の皆は全員1ルピーだろうが、お釣りよこせ、「ノー!」と朝っぱらからケンカをおっぱじめてしまう。たった1ルピー、日本円にして3円だけれども、インド人が1ルピーで良いのなら、僕だって1ルピー以上払いたくない。これはケチというか、あれだ、ケチだ。

8時半、出発。最後部座席を陣取り流れる風景に目を奪われながら、歌う。空が北インドよりも随分青い気がする。入道雲がもくもくもっこりとしているのがたまらなく良い。うろこ雲も割と好きだが、やはり入道雲が群を抜いて、良い。

途中休憩をはさみつつ走ること数時間。「ラメーシュワラム」の看板がみえてきた。海を突っ切る大きな橋を渡り、遂に到着。寺院近くに安宿がいくつかあるらしいので、そちら方面へ向かうバスへ乗り換える。

何軒か宿をまわり、某ロンリープラネットに載っていたCHOLA LODGEコラロッジ、というところの、またしてもトリプルルームにチェックイン。しつこく三人部屋ですみません。「かめへんで」

寺近くのレストランでビリヤニを食べる。安くてうまい。安くてうまい、なんと響きのいい二拍子。ジュースも飲みたかったが、予算オーバーのため我慢。「贅沢はできない筈(はず)だ」。余談極まりないがこれは戦時中のスローガンらしい。中学時分に教科書で読んだのだと思うのだが、当時うら若き少年だった僕はこれを「贅沢はできない箸(ハシ)だ」と読み違え、そうか、戦時中の箸(ハシ)は満足に飯をつつくことができない、かわいそうな箸(ハシ)だったのか・・・と、天寿を全うできない箸(ハシ)達を哀れんでいた。誰が戦の真っ只中に箸の心配をするものか。大人になった今思う。オレって、優しい心の持ち主なんだね。お箸にまで慈悲深く接するなんて。さあ高らかに掲げよう。「贅沢はできない箸だ!」

寺を参拝。 靴を脱がなければならないというので、裸足で中へ。地面が土と水でぬかるんでいるためべちゃべちゃと小気味悪い感触が足を伝う。が、中は随分と涼しく、静かで、荘厳な雰囲気に満ち満ちている。長く続く回廊の支柱の遠近感が美しい。良いものを見た、と荘厳な面持ちで歩いていると、中庭に池のようなものがあって、そこにフナのような魚(サカナとは読まずギョ!もしくはウオ!を読んでいただくとニュアンスがよりリアルに伝わると思われます)がウジャウジャと泳ぎまわってはエサを求めて口をぱくぱくさせているのを見てしまい、気色が悪くてげんなりしてしまう。

せっかくの荘厳な気分が台無しだ、とげんなりしながら出口を探しながら歩いていると、今度はなにやら右前方に長く伸びた、やけにゴツゴツとした、毛深い筒状の物体が現れた。鼻。ゾゾ、ゾ、ゾウさん!釘付け。何かの儀式でかりだされるのだろうか、独りつながれていて、随分ヒマそうだ。すると突如そこらへんに転がっていた大きなヤシの葉をワッシとその長いお鼻で掴み、地面をファッサファッサと掃き始めた。ななな、なんてお利口さん!片付けられない女もしくは男どもにみせてやりたい、このゾウさんのいかに綺麗好きでお利口かを。

寺の歴史的背景などはいつものごとく一切知ることなく、海のほうへ足を運ぶ。沢山の人々が海でなにやらお参りのようなことをしたり、ただただ泳いだり。全てインド人。ここラメーシュワラムはヒンドゥー教の巡礼地としても有名な所だそうだ。ビーチは汚いが空の青さがそれを若干カバーして眺めのよいそこで、パイナップルとチャイをいただきながら休憩。

そこで、マハーバリプラムで出会った日本人のご夫婦と再会。60歳ぐらいだろうか。それぐらいの年齢の方でツアーではなくバックパッカーとして旅をしている日本人を初めて見知った。随分と色んな国を旅されてきたらしい。奥さんの影響で旅嫌いだった旦那さんもいつしかハマってしまったらしい。二人でこうして趣味を共有して、そして共に旅をしているって、いいものだなあ。タカさんミエさんも無論のこと。うらやましいではないか。

宿を探していたようなので、コラロッジを紹介してあげ、部屋に戻りシャワーを浴びる。昼に食べたビリヤニのせいで右手からずっと給食のようなニオイがしているのだ。給食クサイ指なんて、嫌だろう。

18時、そのご夫婦と、5人でレストランへ。ミールスという、南インド版ターリーを注文したら、お好み焼きのような物体が登場してきた。それをココナッツのソースにつけて食べるのだが、そのソースがどうにもこうにもゲロの味しかしないので、一気に食べてしまう。お残しは許しまへんで。

ご夫婦の旅話などをきかせてもらい、チャイで〆て店をあとにし、満月がはんなりと光り輝いていたので海まで観にゆく。しばらくじっと眺め、部屋へ戻り就寝。

満月をじっと眺めていると猿になってしまうと幼少の頃ずっと信じていたので、極力見つめないようにしていたのだが、そんな某ドラゴンボールのような事態にはならないとある日気づいたので、気づいてしまったので、それ以来好きなだけじっくり見つめるようにしている。見つめ放題。

船でスリランカへ。地引網でとれたてぴちぴちウオ料理

パラタとチャイでいつものように朝食をすませ、今日はバスでここ端っこの町ラメーシュワラムのさらに端っこにあるアダムズブリッジと呼ばれる砂洲へ向かう。タウンバスの3番で走ることおよそ10キロ、みるからに「砂洲です!」というような場所へ到着。インド海軍のオフィス前に降り、そこからは歩いて先へ。ひたすら砂の上を歩く。教会や、村がみえてきた。

子供のにぎやかな声が聞こえてくる。学校だ。僕達を見つけるなり「ハロー!」「ペーン(ペンちょーらい)!」わいのわいのと大声を張り上げてきた。ペンはないので写真を撮ってやろうとカメラを向けると、皆好き好きにポーズをとる。「こらー!教室はいんなさーい!」と先生がやってきたのでバイバイと手を振りさらに先へ進む。なんて、のどかなこの感じ。

小さなお土産屋さんがいくつか軒を並べている。ここも一応観光地らしい。が他に観光客は見当たらない。インド人観光客なら数人いるけれど。

そもそも、何をしにここへ来たのか我々取材班。実は、ここから目と鼻の先にスリランカがあるので、ひょっとしてひょっとすると船かなんかでチョチョっと行けちゃわないだろうか、そんなことできたら素敵やん?とその実情を調べに来たのだ。

丁度そこへラジュという名の地元民が話しかけてきたので、尋ねてみる。「今は無理だよ。40年前までは行けてたらしいけどね。今は、もし行こうとしたら、撃たれちゃうよ。スリランカの北部は特に危険だしね。まあ、行くなら、泳いでいくっきゃないね。」夢は儚く散った。それもそうだ、そんな情報どこにもないし、第一こんな小さな町にイミグレーションがあるわけがない。

まだまだ先まで道はあるのだが、先に行ったとてスリランカにいけないならもういいや、と諦め引き返す。お土産屋さんでレモンジュースを飲み休憩。長老だろ、あんた絶対長老だよな、と言わずにいられないような、ヒゲがヘソのあたりまである老人と喋る。何を言っているのかさっぱり分からない。絶対長老だよな。

バス停から結構砂洲を歩いてきたらしい。いくつかバス停まで戻るジープが通りがかるのだが、有料なので歩いて帰る。砂の上をずっと歩くのは通常の倍近く体力を要するらしく、結構疲れる。でもジープ代払いたくないから・・・

しばらく歩いていると、海沿いにインド人が等間隔で列をなしている。ほほう、地引網。老若男女、村人全員で力をあわせてひっぱっている。ちょっくら参戦してみますか、と軽い気持ちでまざってみる。ウワオ、重い!「ちゃんと腰いれてやらんかい!」とオバチャンに喝を入れられ、踏ん張る。

「ワヴェラー!」「ヤッレ!」というリズミカルに掛け声を合わせながらひっぱる。我々も日本式に「ヨイショー!」「オイショー!」などと叫んでみると、それに合わせ皆も「ヨシャーイ!」「オシャー!」と叫んでくれたので少しくすぐったかった。

軽い気持ちで参加したものの「それではここで」と立ち去れない、立ち去りたくない状態になり、汗だくになりながら、その汗が目に染みながら、引っ張り続けること一時間。ついに見えた!網にかかった大漁、とまではいかないものの結構な量のサカナ達。

引き上げた瞬間どっと沸いた。途中参加ながら達成感を覚え、やったねうちらやったね、と喜んでいると「ほらよ」と採れたての魚を少し譲ってくれた。ナンリ(タミル語でありがとう)!苦労して得た何かはそれだけで価値があるものだ。

暑くてたまらないのでそのままパンツ一丁になり海へダイブ。気持ち良い。ミエさんも下着でダイブ。女性がそんなあられもない姿で泳いでいるのを見たことがなかったらしく、村人一同「あーた何やってんの!ちゃんと服きなさい!」と驚く。

疲れた。さすがにこれで歩いて帰るのはきついので、皆と一緒にジープを待つ。しばらくすると来たのだが、どうみても既に満員。というか、オーバー。乗れないでしょうさすがに、と諦めて次のジープを待とうとしていると、「ほらのりな!」と荷台の屋根上に乗せられた。既に満員のジープに、さらに16人近く乗り込むなんて、粋だね。

振り落とされそうになりつつも無事到着し、さてどうしようこのサカナ達。どこかでどうにかして食えやしまいか、と探す。食堂があったので、これ焼いてくれへん?ときくも無理だと断られたので、そこらへんにいた人に、どこか焼いてくれるところ知りませんか?と尋ねてみる。するとすぐ近くのオバチャンの家で焼いてくれることに。ありがてえ。

調理までしてくれた。うろこをとり、切って、洗って、塩とマサラで軽く味付けして直火焼き。採れたての焼きたてをいっただっきます。ハヒョー!絶叫しないではいられないウマさ。幸福をまた一つ知る。一所懸命引っ張って、自分達で採った魚を、新鮮なまま焼いて食う、こんな、簡単なようでなかなか現代社会では手に入れることのできない幸せを、僕は今日手に入れた。

油を買ってきてくれたらしくその分のお代だけ支払って、ナンリ!とお礼を言い、帰る。すると丁度水平線のど真ん中に陽が沈むところだったので、チャイをのみながらじいっと眺める。その太陽と、空の色に心奪われる。誰かの心を奪うって凄いこと。それをいとも簡単にやってのける太陽や空は、ただただ凄い。

タウンバスで町まで帰り、もう魚をたらふく食べさせてもらったのでコーラとヴァダ二個だけレストランでいただいて宿へ。屋上で洗濯物を干していると、今宵もやってきた満月さん。ああ美しいよお前は。太陽だの月だの、そればっかり眺めている気がするが、美しいんだもの仕様がない。

インド最南端の町カニャクマリへずどん

5時半起床、ラスクを食べる。ラスクって、ポロポロと食べかすがこぼれて困る。荷造りをぱっぱとすませ、チェックアウト。こんな朝早く。まだ暗い中を三人で外へ。リキシャでバスターミナルへ。10分程で到着し、リキシャのオッチャンにサンキュー、と手を振る。

んむ?手を振る度になにやらウーンコーのようなにおいが漂ってくるのは、どうして?ゲっ!ウンコツイテル!慌ててウェットティッシュでふき取る。んぐ!?バックパックにもウーンコー!どうして?リキシャについていたらしい。その上にバックパックを乗せ、それをおろす際に手についたという寸法。

朝っぱらからやれウンコだの、ウンコだのと騒ぎ、バスを待つ。待ちながらおしゃべりをしていると「ジャミラ昨夜叫んでたで」と夫妻。え?寝言はおろかいびきすらかかないと巷で話題のこの僕が叫んでいたなんて、にわかに信じがたい事実。嘘でしょ?「いや怖かったで。叫んだと思ったら一瞬こっちギロって睨んで、また寝た。」悪霊じゃんか。悪霊だのウンコだの、今日は色々忙しい。

8時、バスがやってきて、乗り込む。車内でバス代を支払い、いつものごとくジャミポッドで一人カラオケをしていたら、ギョギョ!車に轢かれて死んでしまった野牛の死体が横たわっている。そしてそれに群がり死肉を食む野犬達。むきだしだなあ。生きるとか死ぬとかが。

気をとりなおして歌い続ける。今度は野孔雀がひょこひょこと歩いているではないか。それに空が、雲が今日も美しい。

長距離バスなのに市バス並みに何度も停車しては人を乗り降りさせている。そろそろ休憩かなと思いきやただの給油。もーテンテコマイ、と不貞寝。

15時ようやく休憩で、パラタをぱらっと食べる。再び出発。ひたすら風景を眺め歌う。これさえあれば退屈しないから不思議なものだ。17時半、およそ10時間の移動の末遂にカニャクマリという町へ到着。

バスを降りるなり現れた客引きについて宿をみにゆく。二軒程みるも少し高いので、「次」と言って三軒目へ。広めのダブルルームにマットレスを入れてもらいトリプルルームにしてもらい300ルピー。250にしてえなーと頼みこむも笑顔で「無理だす」。そしてくどいほど三人部屋にしてもらってすみません「きゃめへんで」

荷物を置いて外を散策。フレッシュジュース屋さんでレモンジュースを注文、オッチャン塩入れて、と頼みアンダマンのあの味を再現してもらうも、やはり違う。美味いのだが、あの味にどうしても会えない。南インドに来て何度も挑戦しているのに。やはりアンダマンの人々は料理が上手いのだろうか。一味違うのだ。 夕食は食堂でマサラドーサにする。よくもまあこんなものを発明したものだなインド人は。うめえんだ。

もうすっかり夜なので宿に戻り、テレビでディスカバリーチャンネルを観ながらのんびりと過ごし、就寝。

雨男雨夫雨妻が朝陽を見ようなんて、浅ましい

今日も5時半に起床。早起きがブームらしい。ここカニャクマリは、インド最南端の町で、そしてインドで唯一同じ場所から朝陽と夕陽を拝むことができる場所だそうだ。というわけで早起き。

海岸へ向かうとすでにインド人や観光客がうじゃうじゃと。ここもヒンドゥー教の聖地であるらしく、熱心な教徒達が巡礼しにきているのだ。雲が多く、朝陽が燦燦おはようさん、どころじゃない。あら?というか、もう昇ってるやないの。雲に隠れている間にとっくに朝陽は昇りきっていた。ほらごらん、僕達雨男集団がこういう天候が重要なポイントとなる行事に参加したって駄目なのだよ。雨は降らないにしても、暗雲がたちこめたりして、こういう目にあうのだよ。

分をわきまえたところで、あきらめてヴァダとチャイを朝食にいただき、宿に帰り二度寝。

9時に二度起き。テレビを観ながら部屋でごろごろと過ごし、12時過ぎ昼食をとりに食堂へ。お皿のかわりにバナナの葉を使ったミールスを食べる。やたら愛想のいいオッチャンが運んできてくれて、少し喋る。すると「おいジジイ何サボってやがんだ働け」と仲の良さそうな、オッチャンより随分年下の他の店員がバコっとオッチャンの頭を小突いた。それでもオッチャンは満面の笑み。その様がやけに面白おかしかった。

軽く散歩をして、宿に戻ったら知らぬ間に昼寝していた。気がつくと夕方だった。はふ!夕陽を眺めるべく海岸へ向かう。ここカニャクマリは、インド最南端の町で、そしてインドで唯一同じ場所から朝陽と夕陽を拝むことができる場所だそうだ。

岩に腰かけ陽が沈むのを待つ。ん?陽、はどちらに・・・?雲雲雲。気がついたらもう沈んでいた。 何度も言わせるんじゃないよ、僕達雨男集団がこういう天候が重要なポイントとなる行事に参加したって駄目なのだよ。雨は降らないにしても、暗雲がたちこめたりして、こういう目にあうのだよ。

ここカニャクマリは、インド最南端の町で、そしてインドで唯一同じ場所から朝陽と夕陽を拝むことができる場所だそうだ。

何一つ見てないじゃん。来た意味ないじゃん。「うちらやっぱあかんねん、あきらめよ」

昨夜と同じ食堂で、パラタを食べる。帰りにジュース屋さんでパイナップルを丸ごと一個買って帰る。パイナップルパーリー。パーナップルパーリーとは、パイナップルを切ってひたすら食べ続けるパーティの事である。

ジューシーでとても美味なのだが、食べるにつれて唇がイガイガと、イガイガが、イガイガで、痛い!おまけに繊維が歯に挟まってイライラ。二度と開くかこんなパーティ。誰だそもそも丸ごと買おうなんていいだしたのは。私だ・・・

それから互いに日本にいたときの事や旅をはじめるまでの経緯などを語り合ったりして、久々に大富豪大会。今日はタカさん8連勝。一度貧民に落ち込むと這い上がるのは大変なのだ。1時まで戦い続け、床につく。

拝めない太陽に見切りをつけトリヴァンドラムへ

荷造りを先にすませ朝食へ。もう朝陽を拝もうと5時半に起きたりなんてしない。諦めが時には肝心なのだ。マサラドーサを注文するも、生地が薄い上になんだかびちゃびちゃであまり美味くない。チャイを飲み、宿に戻りチェックアウト。バス停まで歩き、次なる目的地トリヴァンドラム行きのバスの時刻をきいたら、つい五分程前に出発して、次は14時だと。惜しい。さっき部屋でお財布ひろげて各国の硬貨なんか見せ合ったりしなければ間に合っていたのに。今って12時。

ベンチに座り、仕方がないので大富豪。「しゃーねーなー」なんていいつつ本当は大富豪ができて嬉しい三人。するとセイウチのキバそっくりのヒゲを生やしたオッチャンが寄ってきて、ルールも分かっていないのに、「これを出せ!」「こいつジョーカー持ってるぞ」などと口をはさんできた。手札ばらすなよ。何やオッチャンもやりたいんか?やるか?ときくと「おう」というのでルールも知らないオッチャンと四人で大富豪。あら?あらあら?今みていただけで大体のルールを把握しちゃったらしく、時々無謀な切り札を出したりするものの、なかなか理解しているじゃないか。「ティンポー!」え突然オッチャン何をいいだすの何そんな卑猥な単語を叫んでるの。「ティンポー!」

一体それが何を意味するのか皆目見当もつかないが、やったね的なニュアンスでティンポティンポと連呼していた。そして、気がつけば、オッチャン常に三位。訳も分からずやっていたはずなのに、三人とも一度づつオッチャンに負けた。ティンポー・・・何だかとても悔しい。

悔しさを引き摺ったまま、到着したバスに乗り込む。一人爽やかな、セイウチのオッチャンとバイバイ。畜生。ところがやっぱり、ジャミポッドでカラオケをするとすぐに楽しくなった。

17時、三時間ほど走り到着。バスターミナルを出て早速宿探し。が、どこも満室。そして高い。一体全体どうなっているのだトリヴァンドラムは。何軒も何軒もみてまわる。ない。

バックパックを置いてタカさんに見てもらい、僕とミエさんでさらに探し歩く。ようやくアチュカルロッジというところで、ダブルとシングルの部屋を一つずつみつけ、チェックイン。ついに三人部屋でなくなりました。長い間お邪魔いたしまして。

蚊帳をはり、お香を焚き寝床を整える。シャワーを浴び、夕食へ。プライムレストランというところに入ってみる。やけにビーフが安い。牛肉なんてもう随分食べていない気がする。今日はちょいと贅沢しちまおうか、とガーリックビーフ、ローストチキン、トマトとキュウリのサラダ、トマトスープ、ライス、チャパティを注文し三人でシェア。店員はメモをとることなく全て暗記してキッチンへ去っていった。

割と早くやってきて、いただきます。んが。ビーフ、というよりもこれはむしろ、レバー。まあうまい・・・かな・・・他のメニューも、そこそこ・・・。だがこれだけ食べて一人45ルピーなら文句は言えまい。

今宵は贅沢がとどまることを知らない。次はなんとアイスクリームを食べに別の店へ。ストロベリーミルクシェイクにアイスがのっかったものをいただく。ゲ、ゲロウマ、あ死語ですか、デロウマ、幸せだ。束の間の幸せを味わい、食後はどういういきさつでそうなったのか分からないが「白目できる?寄り目できる?」などと小学生のような会話に花を咲かせ、公衆の面前で白目や寄り目、その他顔の筋肉をフルに使った奇妙な表情をお披露目しあうというくだらない遊びに興じる。

宿に戻り、それぞれの部屋へ。「久しぶりに別々やからなんかさびしいなあ」と言ってくれた。言ってくれはった。いいえ、いつまでも謎のアジア人が一緒では夫婦水入らずのひと時が過ごせないでしょう。

備え付けの枕が、飛び上がるほど臭い。今までに宿泊してきた数々のオッチャン達の寝汗が一挙に集結したようなニオイ。おまけにマットレスも臭い。使い込まれた剣道着ないし部室のようなニオイ。

先を見据え、キリンさんがトップに抜きん出る

ベトナムで購入した薄手のニセシルク寝袋をしいて寝るも、あの饐えたニオイを防げるはずがなく、オッチャンに囲まれて一夜を過ごしたような錯覚に陥り、げんなりと9時に起床、すぐさま寝袋を洗う。三人で安食堂を探す。MGロードという大通りまで出てようやく半地下のようなところにある食堂をみつけ、ドーサを食べる。

店員のオッチャンが、とても、不気味に可愛い。この日の日記には「魔女面プーさん」と比喩されていた。まさに、魔女面なんだけれどプーさんみたいなぽっちゃり憎めないオッチャン、なのだ。写真を撮ろうとすると急におすまししはじめた。乙女な一面も持ち合わせているらしい。

食後は単独行動で、スリランカ行きの格安航空券を求めて旅行会社を訪ねてまわる。昔、どこかで会った旅人から「トリヴァンドラムからスリランカやったら60ドルぐらいで飛べるらしいで」ときいたことがあったのだ。半ば信じがたい破格の安さだが、探さない手はない。が、どこも大体スリランカ航空利用で5000ルピー(15000円)近くする。あれはガセネタだったのだろうか。

「ミヒンランカだったら、2300だよ」に、にせんさんびゃく!?要するに、60ドルぐらい。あった、みつけた。やったね。

がそこですぐにチケットを購入してしまわないのが質素倹約の鬼ジャミラ。旅行会社で買うなら、そのミヒンランカという航空会社のオフィスで直接買ったほうが安いのではないかと踏んでいるのだ。賢いだろう。ん?あ皆そうしてらっしゃいますか、普通ですか。

インターネットへ行きミヒンランカ航空のホームページで調べてみると、やはり、ずばり、1800ルピーであるじゃないか。ふふふ。

二人と合流し、格安航空券を遂に発見した旨を告げ、三人でトリヴァンドラム動物園へ行ってみる。バスを利用せず歩いて。おやつを買い入場。初っ端からコブラが出迎えてくれた。それから孔雀、ワシ、ワニ、ヒマラヤグマ・・・と拝んでまわる。ヒマラヤグマが食べすぎの肥満児みたいにチャンコしていたのが愛らしい。そして、知ってしまった。

至近距離で拝むキリンさんの可愛さを。柵から首を突き出して、手を伸ばした僕をぺろりとなめてくれたのだ。惚れた。ベロが紫色で薄気味悪いのはさておくことにして、惚れた。あの長い睫毛に大きく潤んだ瞳。奇抜な柄。今までずっと、僕はゾウさんが動物ランク一位だと思っていたのだが、今日を限りにゾウさんは申し訳ないが二位だ。

それからカバ、シカ、トラ、ヒョウなども拝む。トラ、ヒョウも上位ランクインですね。どうやら柄モノに弱いらしい。

非常に楽しい10ルピーでした。相変わらず安い入場料。隣接するミュージアムの前のベンチで休憩し、レモンジュースを飲んでまた歩いて帰る。

部屋にまだまだオッチャン達の残り香が漂っていたので、窓を閉め密室にしてお香を焚く。煙たいほどに。

夜はまたプライムレストランへ。ビーフで失敗したので今日はベジヌードルスープ。とベジフライドヌードル。麺まみれ。ベジフライドヌードルがなんともいえないウマさ。セロリが入っているのだろうか。野菜たっぷりで良い。

そしてアイスクリーム屋さんへ。さすがに二日連続で贅沢はできない箸なので、ライムジュースで我慢し、今後のプランを練りあう。世界地図を広げ、こう行ってこう行って、そしたらここも行きたいな、えなんだここ、などととめどなく語り妄想に耽るのがとてつもなく楽しい。

ビーチ。いまいち。アンダマンを知ってしまうとだめなのだ

今日はトリヴァンドラムからバスで数十分のところにある、コヴァーラムというビーチへ朝から向かう。

30分弱でバス停へ到着し、ビーチに向かうが、やはり、決して汚いわけではないのだが、先にあの、アンダマンの美しさを知ってしまっているため、心躍らない。

踊らなくたってなんだって、来たからには泳がないわけにはいかないので、荷物を置いて交代々々に見張りながら、泳ぐ。波が高い。波乗りできて楽しいが、それにつけても高すぎて、耳に大量の水が入り込んでしまったので、断念して浜辺で読書。

昼過ぎ、レストランでターリーを食べる。そこでメキシコ系アメリカ人と日本人のカップルに会い、一緒に喋る。色々と話をきくと、驚いた。このあたりの、このあたりだけではないだろうが、若いインド人の男どもは、えらく強かというか、卑怯なそうだ。

ビーチにやってきた日本人の女の子を口説いては、ベッドに連れ込み、「コンドームつけてるからね」と安全性を示しつつも実はそのコンドームの先を切って穴をあけていて、そのまま行為に臨み、何事もなかったかのように終える。数ヶ月後その女の子は妊娠。男に連絡する。「よし、じゃあ結婚しよう」とあたかも責任をとる男らしい態度をとり、それを信じた女の子は男と結婚。

見事日本のビザを獲得した男は、その後姿をくらまし、消息を絶つ。

あな恐ろしや。日本であまりその、もてはやされるという経験をもたない女の子達は、優しく言い寄ってくるインド人にいとも簡単に体を許し、こういう目にあってしまうそうだ。旅先でハメをはずしてハメてしまったばっかりに、とんでもない事態に。恐ろしい。

その点日本の男は心配いらない。金を払いでもしない限り、日本人の男はレディファーストなんてわきまえていないし顔もぱっとしない、足も短く、モテないから。顔で笑って心で泣いて・・・

夕陽が沈むまで喋り続け、バスで帰る。恐ろしい話に夢中になったせいで恐ろしく腹が減り、プライムレストランへ。ベジフライドヌードルを注文「売り切れちゃった」愕然。戦意喪失。全思考がストップしてしまった。この、ベジフライドヌードルを食べんがためにベジフライドヌードルのことだけを考えていたベジフライドヌードル腹に、他のものをおさめる事なんて考えられない。

しばらく停止していたが、こればかりは仕方がないのでベジフライドライスを注文。そこそこうまい、しかし腹を満たされても心は満たされず。

こうなりゃアイスクリームを食べてやる、とアイスクリーム屋さんへ。「あちゃー、機械故障しちゃってさ、今ねえんだ。」ノーアイスクリーム。己の再起動までしばらくの時間を要した。

明日夫妻はここを発ってしまうので、最後ぐらい贅沢しないと気がすまない、アイス食べなきゃ気がすまない、と二軒先のレストランで、1リットルのバニラアイスを丸ごと注文。大人買いだ。これぞ贅沢だ。

「なんかパっとせんなあ・・・」贅沢しているはずなのに、盛り上がりきらない三人。しまり悪いね。重要な場面がぐずぐずな感じが我々らしいといえばらしい。

シマリ切らない私達

8時に起床すると、二人はもう荷造りを始めていて、完了するなり歩いてバス停へ。バスの時間と場所をチェックし、朝食をとろうとレストランをみてまわる。何故かトリヴァンドラムはパラタとソース代が別で、少し損した気分になるので、意地でソース代のいらない店を探す。

あきらめてソース代も払いパラタを食べる。するとお釣りがないだとか店員が言い出し、「ちょっとあんたどっかで両替してきてくれよ」なんてぬかすものだから、客に両替行かせるってどういうことだ、とややモメる。

そうこうしているとバスがやってきて、荷物を積み込み、バスの前で喋る。喋っているとバスが動き出した。慌てて乗り込み慌てて「またねー!どっかで会おうなー!」と別れる。最後までしまりの悪い三人だった。これもまた風流。またどこかで会えるでしょう。世界は狭いから。

久しぶりに一人きりになり、ちょっと寂しさを覚える。インターネットで時間をつぶし、ミヒンランカ航空のオフィスを目指し歩きだす。ホームページにのっていた住所と地図をデジタルカメラで撮影し、その画像を見ながら探すいつもの寸法で。

一時間以上歩くが見つからない。何度も何度も人に尋ねる。地図と実際歩いている道がつながらない。方向音痴であることを棚に上げ、この地図間違ってるんとちがうの?と地図に一人イチャモンをつける。

二時間近く歩き、ようやく発見。値段をきくと税込みで2025ルピー。やはり旅行会社で取るより275ルピーも安い。今日は確認だけにして退散。来た道と全く別の道を歩いて、東西南北の感覚で帰る。

すると偶然にもミュージアムへたどり着いたので、そこで休憩。ヘミングウェイの「老人と海」を読む。

腹が減ったので歩いて帰り、魔女面プーさんのいる食堂へ。ミールスを食べる。大してうまくはないが、腹はふくれたのでよしとしよう。

帰りに商店で水を買い、さらにパン屋に立ち寄りチップスを買って店を出ると「ちょっと待て!」と店員にひきとめられた。一体何事だ。「お前その水どこから持っていった?うちからじゃないのか?お金払ってないだろう?」と言ってきたので、怒り心頭。これはさっき他の店で買ったやつじゃみてみいぼけ!「え?そうなの?」そうやクソが腹立つわお前こんな店二度とくるかファックユー!絶対許さんからな泥棒呼ばわりしゃあがって!「すまなかった。」誰が許すかアホ!

よっぽど泥棒扱いされたのが腹立たしかったのか、よくわからないが自分でも驚くほど、怒り狂ってしまった。勘違いなんて誰にでもあるのに、ちゃんと謝ってきたのにもかかわらず。いやしかし腹が立つ。カルシウムとらなきゃ。

あら?ゲ!!!!電子辞書がない!!!

ヒマに悶える日々の始まり

昨日あんなことで怒り狂ったりするものだから、その報いだ。電子辞書を失くすなんて。出国する時に会社の皆さんがくれた大事な電子辞書。あー罰当たり。

もしかしてもしかするとインターネットカフェに忘れているかもしれないので、いってみる。電子辞書みかけませんでしたか?「ああ、はいこれ」とメモを渡された。

「電子辞書を忘れていたようなので、お預かりしています。私たちも四日にスリランカへ飛ぶので、空港でお会いしましょう。ナツコ」と日本語で書かれている。あ!昨日ここで会い、ミヒンランカの格安航空券について教えてあげたあの日本人の方だ。よかった・・・無事だった。

ほっとしたところでプーさんの食堂へ行き朝食。ドーサ。再び歩いてミヒンランカのオフィスへ。「あら。四日発のチケットは売り切れちゃってるわね。次は六日よ。」が、が、がくり。今日は二月二日。二日後にはスリランカに発てると思っていたのに、売り切れ。昨日まではまだチケットあったのに・・・。仕方がない。六日発のチケットを購入。あ。するとナツコさんに会えないじゃないか。どうなる僕の電子辞書。ああ。

あと四日もこのトリヴァンドラムで一人、何をしろというのだ。考えただけでつまらない。この瞬間から果てしない時間つぶしが始まった。

ミュージアムで読書をするも、さっさと読み終えてしまう。マーケットを散策し、コイルヒーターとコーヒーを買って帰り、プライムレストランでベジヌードル。

さっさと食べ宿に戻り、独り部屋でコーヒーを飲もうとコイルヒーターを使いお湯を沸かす。あら?接触が悪いのか、沸かない。とコンセントの部分を触ると、ドクドク!感電。心臓ビクった。

一体私は何をしているのでしょうか。そして何をすればよいのでしょうか。あと四日も・・・。

つまらない三日間ざっくりまとめ

二月三日

携帯でぷよぷよ。全クリ。
意味もなくコヴァーラムビーチへ。ウキウキ感ZERO。
泳ぎもせずレストランでターリーを食べながら読書。
下痢を催しそうになる。
レストランにトイレがないので、隣のレストランへ行くも、貸してくれない。
有料トイレまで走るが、一杯。待つのもあほくさくなり、気がつけば便意も消えうせ、戻る。
テーブルにおいていたチャイに蟻が侵入し集団入水心中状態。やめてよ。
妄想に耽る。この先のドラマティックな展開を妄想する。
ナツコさんと偶然再会、ありがとうございました。無事電子辞書を手に入れる。

二月四日

意味もなくここから二時間ほど北のクイロンというところへバスで向かう。
バス代が43ルピーもすることに乗り込んでから気づき、凹む。
到着、屋台でヴァダとチャイを食べ、商店街を歩く。
コーラムビーチまで1キロ、の看板をみつけ、歩く。
ムダに巨大な女体像が立ちはだかるビーチに到着。
雨が降ったあとらしく、曇っているわ濁っているわで、何一つ惹かれるものがない。
インド人に漢字を教えてやる。君の名前、ラジュは「裸濡」とかくんだよ。
トリヴァンドラムへ帰る、何しに来たんだっけ。
プライムレストランでベジヌードル。
ぷよぷよ。

二月五日

プーさん食堂でドーサ。
インド最後の思い出にインド映画を観る。
時間を間違えて普通のハリウッド映画を観てしまう。
やたら人が死ぬ映像で、どきどきする。
そのタイミングで昨日スリランカのコロンボでテロがあったときき、余計にビビる。
洗濯に気合を入れすぎてしまい、タンクトップが伸びる。
プライムレストランでベジヌードル。
インド最後の夜だし、少し贅沢して美味しいグレープジュースを飲もう。
「あー、終わっちゃったよ」水を買って帰る。
ヒマなので近所を徘徊。
ぷよぷよ。

腐りきっている。今思い出しても決して戻りたいと思えないほど腐敗していたこの数日間。我ながら素晴らしく無意義な時間を過ごせたと思う。

腐り、朽ち果てる寸前で出国、さようなら、通算三ヶ月世話になったインド

時間との戦いにどうにか勝った私。ついに荷造りをして、念願のチェックアウト。オッチャン臭に包まれたこの部屋ともお別れだ。

プーさん食堂で最後のドーサを注文「ないのでしゅ・・・」案の定売り切れ。アッパムという別の物を流し込み、バスで空港へ。

全く空港のありそうな気配のしない民家の続く街並みを走り続け、本当にこれ空港行きかしらと心配していると、到着。突如現れた空港。

ミヒンランカのカウンターにてチェックインをすませ、出国カードを記入し、待つ。9時49分、イミグレーションが開いてついに出国。荷物、身体検査を受けて、飛行機に乗り込む。

思えば空の旅なんて、最初に日本から飛んで以来なかったので、大・興・奮。レモンティとクッキー、チョコレートを機内食代わりにいただき、上空写真を激写。

ほんの40分の飛行の末、夢にまでみたセイロン島、スリランカへと上陸。

なぜ夢にまでみたかというと、ふふふ・・・それはね。ふへへへ・・・・


南インド(2008年1月16日〜2月6日)

夢にまでみたスリランカ日記